安田女子大学家政学部は、本学の建学の精神「柔しく剛く」に基づき、人文・社会・自然系諸学の知識を広く授け、各学科の専門の学術を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力の展開を図るとともに、幅広い職業人及び各学科の専門的知識を生かした専門職業人を養成することを目的として、人的・物的両面から、人文・社会・自然の諸科学を基盤とし、専門的知識を生かした専門職業人を育成します。
本学部生活デザイン学科(以下「本学科」という。)では、大学及び学部の目的に沿って、諸学の知識を広く授け、伝統的な「衣」「食」「住」の分野のみならず、「環境」「健康」分野の視点を加えた、人間の生活の質的向上を目指す家政学を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力の展開を図るとともに、真に健康で快適な生活をデザイン(創造)できる専門的職業人を養成することを目的とします。
学科では、その教育的側面をこれまで以上に充実するために、3つのポリシー「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を以下のとおり定めます。
1 卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
建学の精神「柔しく剛く」に基づく大学及び学部・学科の目的を達成するために、本学科で養成する人材が、卒業時に身に付けておくべき能力・態度の修得を本学科の教育目標とします。
以下の6つの能力・態度を身に付け、教育課程に定められた所定の単位を修得した学生に対して卒業を認定し、学士の学位を授与します。
(1)教育目標
- ① 倫理観・使命感
幅広い教養、豊かな人間性、高い倫理観を兼ね備え、さらに生活者であることに立脚し、人間生活とその環境を追究することで、人類の福祉と生活の向上に貢献するという倫理観と使命感を身に付けます。
- ② 知識・技能・態度
生活そのものが持つ総合性を理解し、且つ、専門的知識を持って社会に貢献することができる十分な知識・技能・態度を修得します。
- ③ 思考力・判断力・表現力
卒業までに修得した知識・技能・態度を駆使して自ら課題を発見し、課題の解決に取り組むことのできる思考力と判断力、課題解決の成果を的確に伝えることのできる表現力を身に付けます。
- ④ 自律性の確立
生涯にわたり自らを律し、高め続ける力を有するだけでなく、主体的に他者と対話し、他者との連携を通じて新しい価値を創造することができる能力を身に付けます。さらに、そのように共創された価値や自らの体験を、次世代の人に伝えて育成する意欲と能力を身に付けます。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力
人の健康と生活に関わる者として、他者と積極的に意思疎通を図り、連携・協同するために必要な社会性とコミュニケーション能力を身に付けます。
- ⑥ 多様性の受容と理解
健全な生活者として、他職種との効果的連携・協同を実現するために、自分とは異なる価値観や視点を受容・理解し、他者と協力して学び合うことができるだけでなく、人を思いやる柔軟な態度も身に付けます。
2 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
本学科で学ぶ学生一人ひとりが学修を円滑に開始し、学士課程を通して広く深い学識を身に付け、家政学が人類の福祉と生活の向上を目指した学問であることを踏まえ、豊かな人間性と高い倫理観、そして幅広い教養の上に、家政学の専門性を身に付けて、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を達成し、社会の中で主体的に行動できる人材になることができるように教育課程を編成・実施します。
(1)教育内容
本学科の教育課程は、「特別科目」「共通教育科目」「専門教育科目」を体系的に編成し、「衣」「食」「住」「環境」「健康」の分野を有機的に組み合わせた4年制教育課程を編成します。すべての授業科目に一般目標(GIO:General Instructional Objective)と到達目標(SBO:Specific Behavioral Objective)を定め、これらの目標の達成によって、卒業の認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を実現します。
「特別科目」は、建学の精神「柔しく剛く」に基づき、「まほろば教育ゼミ」を入学時より4年間開講します。「安田を知る」「学びを知る」「自分を知る」「社会を知る」ことを活動の軸に倫理性を培い、総合的な判断力と豊かな自己表現力の獲得を目指して、教員と学生が協同して運営します。
「共通教育科目」は、「キャリア科目」「教養科目」「基礎科目」で構成します。各学部・学科の垣根を越えたクラス編成によって、分野の異なる学生とともに多様な授業科目を学ぶことができます。
「専門教育科目」は、「基本科目・卒業研究」及び「展開科目」で編成し、「展開科目」は「衣」「食」「住」「健康・環境」及び「関連科目」に分類します。第1年次は、「生活をデザインすることとは何か」「真に健康で心豊かな人間生活とは何か」について科学的に捉えるための知識基盤の形成を目指します。第2年次からは、2コース「生活デザインコース」「建築デザインコース」に分かれたカリキュラムを選択し、「衣」「食」「住」に関する知識と技術を「健康・環境」の視座から専門的に発展させながら、自己の関心を固めることを目指します。第3年次は、卒業研究のゼミが始まり、「衣」「食」「住」「健康・環境」の4領域から1つのテーマを選択し、追究します。第4年次は、研究を完成させ、成果を発表すると同時に、卒業論文として一つのテーマを設定し、オリジナルな手法で結論を導きます。
本学科における主要な教育内容は、次の6つにまとめられます。
- ① 倫理観・使命感の育成
人のあるべき姿、社会のあるべき姿を家政学の知見に学び、健康生活を築くためには、人を思いやる真摯で節度ある態度(ヒューマニズムと倫理観)が求められます。そのために、「特別科目」「共通教育科目」に加えて、「専門教育科目」の「基本科目」において、家政学を学んだ者としての倫理観・使命感を育成します。
- ② 知識・技能・態度の育成
衣・食・住に関する専門的職業人として活躍するためには、専門的知識・技能を身に付け、自発的に課題を見出し解決する判断力と表現力が必要です。そのために、「専門教育科目」の中に、衣・食・住・健康・環境の各領域の「展開科目」を配置します。
- ③ 思考力・判断力・表現力の育成
日常の生活においては、現象をよく観察し、効果や危険を予測して的確な判断を下す能力が求められます。そのために、「専門教育科目」の中に、「基本科目」を開設します。これらの「基本科目」は、複合領域の科学としての家政学の総合性・独自性を理解するためのものです。
- ④ 自律性の育成
変動する環境変化に対応し続けるためには、自律性をもって自己研鑽し続ける力、研究マインド(課題発見・解決能力)、そして次世代の人材を育成するための能力が求められます。本学科では、実習科目、演習科目、さらに「卒業研究」等を通して、これらの能力を身に付けます。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力の育成
健全な生活者としてその職能を発揮するには、他者と積極的に意思疎通を図り、連携・協同できることが必要です。そのために、各種「演習・実験・実習」「卒業研究」「卒業論文」を開設します。
- ⑥ 多様性を受容して理解する能力の育成
自らの価値観や視点と異なる他者や文化の多様性を受容して理解すること、人々と協力して学び合うこと、他者を思いやるやさしさは、複雑化・国際化する現代社会を生きるために欠かせない能力です。そのために、本学科で学ぶ学生は、特別科目「まほろば教養ゼミ」での講演会や、「専門教育科目」の演習での討論(SGD:Small Group Discussion)を通じ、そのような能力を身に付けます。
(2)教育方法
- ① 多様な授業形態
「専門教育科目」では、衣・食・住を健康・環境の視点で学ぶ授業科目を段階的・系統的に開設します。生活者及び専門的職業人として通用する実践力を身に付けた人材を養成するために、講義で修得した知識が、演習・実験・実習を通じてより確かなものになるよう、講義と演習・実験・実習が系統的かつ有機的に組み合わされて配置します。
- ② シラバスによる授業の目標・内容・方法・評価方法等の明確化
授業は、目標・内容・方法・評価方法等を具体的に記載したシラバスに沿って実施します。シラバスの内容や評価基準及び評価方法等は組織的に確認し、教員間や教員と学生間で共有します。
- ③ 教育課程体系の明確化
教育課程の体系を明確化・可視化して共有するため、科目ナンバリング及びカリキュラム・マップにより学修成果の達成にどの授業科目が寄与するかを示し、カリキュラム・ツリーにより学修成果の達成に向けてどのような授業科目が関連し年次配当されているかを示します。これらのことから、学期と年次の進行ごとの学修の進展、授業科目間の相互関係を容易に把握することができます。
- ④ 自主的・能動的学修(アクティブ・ラーニング)の推進
論理的思考力、課題発見・解決能力及びコミュニケーション能力を育成するため、アクティブ・ラーニングを実施します。具体的には、課題解決型学修(PBL:Project-Based Learning)や少人数での討論(SGD)を取り入れた少人数教育科目や統合教育科目を開講します。また、学生全員がコンピュータを持つこと(全員にノートPC配付)で、授業内外で積極的に活用することにより、高度なICTスキルを養います。
- ⑤ 体験型学修の推進(視野の拡大・経験の拡充)
生活に関わる職業人に求められる広範な視野や視点を身に付けることを目的として、キャリア教育科目(共通教育科目)、演習・実験・実習科目(専門教育科目)の中に、実社会・地域社会の多様な人々との協創を主体的に体験できる授業科目を設けます。
- ⑥ CAP制度
授業外の学修時間を確保し、単位制度の実質化を図るため、履修登録ができる単位数の上限を定めるCAP(キャップ)制度を設けます。
- ⑦ チューター制度
各クラスにチューター(担任)を配置し、学生の学修面から生活面全般まで、一人ひとりに合わせたサポートを行います。また、教員は全員オフィスアワー(OH)を少なくとも週2時間設け、これを周知します。
- ⑧ 教育の質の確保 高い教育の質を保証するため、教員に対し教育者としての行動を律する「学生との良好な関係を築くための教職員行動指針」及び「教育に関するガイドライン」を定めるとともに、教員の教育資質を高める研修、学生による授業評価アンケート、授業公開・参観、教員自身による教育活動に関する自己点検・評価を実施します。
(3)学修成果の評価
- ① 成績評価
本学及び本学科の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げた知識・技術・態度の達成度を評価します。各授業科目の担当教員は、あらかじめシラバスに明示された成績評価方法によって、学修成果の評価を客観的かつ公正に行います。
「卒業研究」は、卒業研究を実際に指導した教員が授業科目ごとに評価を実施します。また、「卒業研究」の成果をまとめた発表については、学科の複数の教員が審査した後、全員で審議して最終評価を行います。
- ② GPA制度の採用
学生の成績を客観的・相対的に把握するためにGPA(Grade Point Average)制度を採用します。チューターは、GPAを使い、CAP制度(履修登録単位数の上限設定制度)の基での履修指導のほか、担当クラスに属する学生への学修指導も行います。
3 入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)
多様な入学試験制度を設け、全学共通の「建学の精神」に加え、学科独自の「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に沿った教育を受けることができる者として次に掲げる入学者を広く受け入れます。
(1)求める入学者
本学科で求める能力・適性を有する人材を養成するために、次のような人を求めます。
- ① 人間の生活のあり方とその改善に強い関心を抱き、そのために主体的に学ぼうとする姿勢を有している人
- ② 日常の生活に関わる問題に関心がある人
- ③ 生活の質を高め、生活をより豊かにする方法について考える人
- ④ コミュニケーション力を磨き、グローバルな視点まで獲得して未来を切り開いていく人
- ⑤ 人々の幸せやより良い社会の実現に寄与したいという意欲を持っている人
(2)入学者に求める能力
- ① 高等学校卒業程度の十分な基礎学力と、本学の教育及び家政学教育に耐え得る基礎学力
- ② 日本語・英語での読解、表現、コミュニケーションに必要とされる基礎学力
- ③ 社会で活躍するために必要な知識・技能・態度を、入学後の学修を通して修得できることに加え、自ら課題の発見と解決に取り組むことのできる思考力・判断力・表現力
- ④ 多様な人々と協力して学び合うために必要な主体性・協調性・知的好奇心・旺盛な学修意欲
(3)入学試験制度
本学科で学ぶために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力及び意欲・適性を見るために、以下の入学試験を公正に実施します。
<入学試験の種類>
- ① 自己表現型選抜
- ② 総合型選抜(専願)
- ③ 総合型選抜(併願)
- ④ 学校推薦型選抜(指定校)
- ⑤ 一般選抜(前期A日程、前期B日程、前期C日程)
- ⑥ 一般選抜(後期日程)
- ⑦ 大学入学共通テスト利用選抜[前期日程]
- ⑧ 大学入学共通テスト利用選抜[後期日程]
- ⑨ 社会人特別選抜
- ⑩ 編入学試験