安田女子大学文学部は、建学の精神「柔しく剛く」に基づき、文化の創造と社会の発展に寄与する人材を育成することを目的として、入学者に人文・社会諸科学の知識を広く深く授け、自尊の人格、豊かな教養、思いやりの心を持った、かつ知的、道徳的、応用的能力を備えた真に自立した女性を育むことに努めてきました。
本学部日本文学科では、その教育的側面をこれまで以上に充実するために、3つの方針、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)及び入学者受入れの方針(アドミッションポリシー)を、以下のように具体的に定めています。
卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)
・養成する人材像
本学で養成する人材像に基づき、本学科で養成する人材像として「日本語学、日本文学(漢文学を含む。)、日本文化及び関連諸学を広く学び、現代社会のニーズに対応できる適格な判断力を身に付け、主体性を持ち自立した社会人として活躍できる人材」を掲げます。
・教育目標
本学科で養成する人材が卒業時に身に付けておくべき能力・態度を達成することを本学科の教育目標とします。
本学科で学ぶ学生には、卒業までに次の6つの能力・態度を身に付けることが求められます。
- (1)自立した社会人としての倫理観・使命感
主体性を持ち自立した社会人であることを自覚し、豊かな人間性と高い倫理観を持ち、物事に対する深い洞察力を有し、現代社会のニーズに適格に対応できる能力を身に付けている。 - (2)言葉と文学に関する知識・技能・態度
言葉や文学の専門家にふさわしい基礎知識・応用能力・創造力に関する十分な知識・技能を修得している。言葉の生活を改善することを通して豊かな社会を創造していく態度を身に付けている。 - (3)現代社会のニーズに応じた思考力・判断力・表現力
卒業までに修得した、言葉に対する知識と能力を駆使して自ら課題を発見し、課題の解決に取り組むことのできる思考力と判断力を身に付け、さらに課題解決の成果を的確に伝えることのできる表現力を身に付けている。 - (4)自立性の確立
人間社会を豊かにするために、自らを律し、自己を高め続ける力を有するだけでなく、主体的に他者とコミュニケーションを取ることにより、新しい価値を創造し、生涯を通じて成長する力を身に付けている。 - (5)社会性・コミュニケーション能力
言葉や文学を学んだ者として、他者と積極的に意思疎通を図り、他者と連携・協働して豊かな社会を実現できる社会性・コミュニケーション能力を身に付けている。 - (6)多様性の受容と理解
多様化・複雑化する現代社会において、文化の多様性や自らの価値観や視点と異なる他者を受容・理解し、他者と協同して学び合い、人を思いやる柔軟な態度を身に付けている。
・卒業の認定及び学位の授与
「養成する人材像」で示した6つの能力・態度を身に付け、本学科の教育課程に定められた所定の単位を修得した学生には、卒業を認定して学士(文学)の学位を授与します。
教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)
本学科で学ぶ学生一人ひとりが本学科での学修を円滑に開始し、学士課程を通して広く深い学識を身に付け、あわせて豊かな人間性と高い倫理観、さらには課題解決能力を身に付けて卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)を達成し、社会の中で主体的に行動できる人材になることができるように教育を行います。
これらの教育を実現するための方針が、教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)ですが、以下ではその中心となる教育内容、教育方法及び学修成果の評価について記載します。
・教育内容
大学及び学部の目的に沿って、諸学の知識を広く教授し、言葉や文学に関わる知識や技術をもって、豊かな社会を創造する真に自立した社会人を養成することを、学部・学科教育の基本方針とします。
具体的には、言葉や文学の専門家にふさわしい基礎知識・応用能力・創造力に関する十分な知識・技能を育成するために、共通教育科目として教養科目・基礎科目、専門科目として日本語学日本文学・日本文化・中国文学・書道・領域関連科目を有機的に組み合わせた4年制教育課程を編成します。
すべての授業科目に一般目標(GIO:General Instructional Objective)と到達目標(SBO:Specific Behavioral Objective)を定め、これらの目標の達成によって、卒業の認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)を実現します。
本学科における主要な教育内容は、次の6つにまとめられます。
- (1)自立した社会人としての倫理観・使命感の育成
言葉や文学を学び、自立した社会人になるためには、人を思いやる真摯で節度ある態度(ヒューマニズムと倫理)が求められます。
そのために、特別科目、共通教育科目及び基礎科目並びに専門教育科目として「日本語学概説」、「日本文学概論」、「日本文化論」、「中国文学概論」及び「日本文化文学基礎演習」等の基本科目を配置しています。
これらの教育は、入学から卒業までの4年間、本学科の基盤となるものです。 - (2)言葉と文学に関する知識・技能・態度
日本の文学を学ぶためには、日本語や日本の文化についての知識を理解すると同時に、文学作品を生み出した歴史的・文化的な土壌を深く学び、人間としての心、社会人としての豊かな感性が必要です。
そのために、専門教育科目の中に、日本語を理解する力、古典を読む力、外国の文化や文学を理解する力を付けるための授業科目を配置しています。「日本語音声学」「言語学概論」及び「日本語文法論」等は、日本語の仕組みや特色を理解するための授業科目です。「古文書学」「日本文化文学基礎演習」「日本文化論」「日本文化史」及び「日本文化文学実地研究」は、日本の文化を理解するための基礎的な力を育成します。「中国文化論」及び「漢字文化史」等では、日本に大きな影響を与えた中国の文化や文学を学ぶ授業科目を配置しています。「国語科教育法」及び「国語教育の理論と方法」等、国語教員になるための授業科目も配置しています。 - (3)現代社会のニーズに応じた思考力・判断力・表現力
現代社会のニーズを適格に把握するためには、総合的な人間力が求められます。社会に起こる出来事をよく観察し、因果関係を踏まえた的確な判断を下す能力が求められます。
そのために「日本語文章表現演習」「「日本文化演習」「「中国文学演習」「「日本語口頭表現演習」及び「日本文学読解研究」など思考力・判断力さらに表現力を育成する授業科目を配置しています。 - (4)自立性の確立
真に自立した社会人になるためには、自ら課題を発見し解決策を見い出す自主性が必要です。
そのような能力を身に付けるために、本学科では「卒業研究」を配置しています。「卒業研究」では卒業論文の作成を課題にしています。「卒業研究」を実践するために「日本文化文学課題演習」を配置しています。卒業論文の作成を通して、課題の発見・解決、そして成果発表のための総合的能力を身に付けます。 - (5)社会性・コミュニケーション能力の育成
言葉や文学を学んだ社会人が、社会の一員としていかんなくその職能を発揮するには、他者と積極的に意思疎通を図り、連携協同できることが必要です。
そのために、「日本語文章表現演習」及び「日本語口頭表現演習」でコミュニケーション能力を育成します。「文芸創作論」では文芸創作の方法を実習します。 - (6)多様性の受容と理解能力の育成
自らの価値観や視点と異なる他者や文化の多様性を受容して理解すること、人々と協同して学び合うこと、他者を思いやるやさしさは、複雑化・国際化する現代社会を生きるために欠かせない能力です。
本学科で学ぶ学生は、「教養科目」、「まほろば教養ゼミ」で実施される講演会、「まほろば教養ゼミ」での討論(SGD:Small Group Discussion)を通じ、そのような能力を身に付けます。
専門教育科目では、「日本語教育事情」「日本語教授法」及び「日本語教育教材教具論」で、日本語教員になるための実践的な能力を身に付けます。
これらの教育内容は、(1)特別科目、(2)共通教育科目、(3)専門教育科目で構成されています。このうち(1)及び(2)の授業は全学に共通ですが、(3)の授業は講義・演習・実習を適切に組み合わせながら本学科で独自に実施しています。
これらの科目の具体的な内容は、次のとおりです。
- (1)特別科目
建学の精神「柔しく剛く」に基づき、「まほろば教養ゼミ」を入学時より4年間開講します。
具体的な内容としては、倫理性を培い、総合的な判断力、豊かな自己表現力の獲得を目指して、「安田を知る」、「学びを知る」、「自分を知る」及び「社会を知る」を活動の軸に教員と学生が協働して運営しています。 - (2)共通教育科目
基礎科目、教養科目及びキャリア科目で構成されています。
これらの科目は、学部・学科の垣根を越えて編成されたクラスで授業が実施されるため、専門の異なる学生とともに多彩な授業科目を学ぶことができます。
各科目の具体的な内容は、以下に記載するとおりです。
基礎科目:基礎科目は、3つの目標(①大学への適応、②学修スキルの修得、③将来に向けての学びの計画作り)を達成するための初年次教育です。
具体的には、多様な情報を収集・分析し、効果的に活用する技術を習得する「情報処理科目」、国際社会で活躍する職業人育成の基盤となる「外国語科目」、健康で豊かな生活を送るために必要な運動技術・知識を習得する「健康スポーツ科目」、大学での学びを円滑に進めるための基礎学力を固める「基礎養成科目」で構成されています。
教養科目:複雑化、多様化する現代社会を生きるために求められる基礎知識の修得と市民性の涵養を目指し、人文科学、社会科学及び自然科学について、それぞれの基本的視点・考え方を学びます。
キャリア科目:自身の人生設計のための知識や考え方を修得するとともに、社会の中で必要とされる思考力、判断力、表現力を身に付ける講義、演習及び実習から成り立っています。
- (3)専門教育科目
「日本語学日本文学」、「日本文化」、「書道」、「領域関連」及び「卒業研究」で構成されています。
「日本語学日本文学」及び「日本文化」は、第1年次から第3年次にかけて開講され、日本語・日本文学や日本文化を体系的に学びます。「書道」は第1年次から第3年次にかけて開講され、教育職員免許状に必要な授業科目です。「領域関連」は、第2年次から第4年次にかけて開講され、日本語や日本文化をさらに深く学びます。「卒業研究」は第3年次から第4年次にかけて開講され、4年間の学びの集大成となる授業科目です。「卒業研究」では各自のテーマに沿って卒業論文を作成します。
・教育方法
- (1)多様な授業形態
専門教育科目では、下級の年次には講義を中心とした概説や概論を配置しています。第2年次には、演習と領域関連科目を中心に基礎的な授業科目を配置しています。第3・4年次には演習や講読、実地研究など、より専門性の高い授業科目を配置しています。 - (2)グローバル化や情報化の進展
ICT教育、多様な価値観や異文化を理解するための語学教育(特に英語教育)及びグローバル教育を実施するとともに、海外留学制度を充実させます。
ICT教育及び英語教育は、習熟度に基づく少人数クラスで行います。 - (3)シラバスによる授業の目標・内容・方法・評価方法の明確化
シラバスには、教育科目、一般目標(GIO)、到達目標(SBOs)、授業内容、授業方法及び評価方法が明記されています。 - (4)教育課程の明確化
教育課程の体系を明確に可視化するために、授業科目のナンバリング及びカリキュラム・マップを作成して公開しています。
これらのことから、学期と年次の進行ごとの学修の進展、授業科目間の相互関係を容易に把握することができます。 - (5)学生参加、自主的、能動的学修の推進
論理的思考力、課題発見・解決能力及びコミュニケーション能力を育成するため、アクティブ・ラーニングを実施します。
具体的には、課題解決型学修(PBL:Project-Based Learning)や少人数での討論(SGD)を取り入れた少人数教育科目や統合教育科目を開講しています。 - (6)体験型学修の推進(視野の拡大と経験の拡充)
日本文学を学んだ自立した社会人に求められる広範な視野や視点を身に付けることを目的として、キャリア教育科目(共通教育科目)、実習科目(専門教育科目)及び他学科履修科目(他学科専門教育科目)の中に、実社会・地域社会の多様な人々との協創を主体的に体験できる授業科目(学修機会)を設けます。
多様な価値観や異文化を理解するために、海外留学制度を充実します。 - (7)CAP制度
授業外の学修時間を確保し、単位制度の実質化を図るため、履修登録ができる単位数の上限を定めるキャップ(CAP)制度を設けています。 - (8)チューター制度
各学年のクラスにはそれぞれ担当教員(チューター、必要に応じ副チューター)を配置し、学生の学修・生活両面での相談にのって助言を行います。
なお、どの教員もオフィスアワー(OH)を少なくとも週3時間は設け、その時間を使って学生からの相談に対応する環境を整えています。 - (9)教育の質の確保
高い教育の質を保証するため、教員に対しては、教育者としての行動を律する「教職員行動指針」及び「教育に関するガイドライン」を定めています。
さらに教員の教育資質を高めるための研修会(FD)のほか、教員自身による教育活動に関する自己点検・評価を実施します。学生による授業評価アンケートも、継続的に実施しています。
・学修成果の評価
- (1)成績評価
卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)に掲げた知識・技能・態度について、それぞれの達成度を評価します。
各授業科目の担当教員は、あらかじめシラバスに明示された成績評価方法に従い、学修成果を客観的かつ公正に評価します。
「卒業研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」は、卒業研究を実際に指導した教員が評価を実施します。また、「卒業研究」の成果をまとめた発表については、学科の複数の教員が審査した後、全員で審議して最終評価を行います。 - (2)GPA制度の採用
学生の成績を客観的・相対的に把握するためにGPA(Grade Point Average)制度を採用しています。
チューターは、GPAを使い、CAP制度(履修登録単位数の上限設定制度)の下での履修指導のほか、担当クラスに属する学生への学修指導も行います。
入学者受入れの方針(アドミッションポリシー)
多様な入学試験制度を設け、全学共通の「建学の精神」に加え、学科独自の「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマポリシー)」と「教育課程編成・実施の方針(カリキュラムポリシー)」に沿った教育を受けることができる者として次に掲げる入学者を広く受け入れます。
・求める入学者
本学及び本学科で求める能力・適性を有する人材を養成するために、次のような人を求めています。
- (1)国語(古文を含む。)に関する基礎学力を有し、学び続ける意欲と向上心の強い人
- (2)日本の文学・文化に対する好奇心と探究心に満ちあふれた人
- (3)日々の積み重ねを大切にし、目標に向けてこつこつと努力する人
- (4)社会性及び豊かなコミュニケーション能力を有する人
・入学者に求める能力
- (1)高等学校卒業程度の十分な基礎学力と、本学の教育に耐え得る基礎学力
- (2)日本語・英語での読解、表現、コミュニケーションに必要とされる基礎学力
- (3)社会で活躍するために必要な知識・技能・態度を、入学後の学修を通して修得できることに加え、自ら課題の発見と解決に取り組むことのできる思考力・判断力・表現力
- (4)多様な人々と協力して学び合うために必要な主体性・協調性・知的好奇心・旺盛な学修意欲
・入学試験制度
本学科で学ぶために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力及び意欲・適性を見るために、以下の入学試験を公正に実施します。
<入学試験の種類>
- ① 自己表現型選抜
- ② 総合型選抜(専願)
- ③ 総合型選抜(併願)
- ④ 学校推薦型選抜(指定校)
- ⑤ 一般選抜(前期A日程、前期B日程、前期C日程)
- ⑥ 一般選抜(後期日程)
- ⑦ 大学入学共通テスト利用選抜[前期日程]
- ⑧ 大学入学共通テスト利用選抜[後期日程]
- ⑨ 社会人特別選抜
- ⑩ 編入学試験