• 教員紹介
  • 理工学部長:松浦 達也

    島根県大田市出身。広島大学医学部医学科を卒業後、島根医科大学医学部附属病院助手を経て、広島大学大学院医学系研究科を修了し、博士(医学)を取得。その後、鳥取大学医学部教授、鳥取大学副学長を歴任。この間、米国ピッツバーグ大学に留学。令和4年より家政学部管理栄養学科教授に就任。現在、日本ビタミン学会会長、日本酸化ストレス学会理事、日本コエンザイムQ協会理事、ビタミンE研究会幹事、日本生化学会評議員、日本機能性食品医用学会評議員を務める。

健康寿命延伸に寄与する機能性成分の探索

近年、ビタミンEやCoQ10といった生体内の強力な脂溶性抗酸化物質が、抗酸化作用以外の新たな生理活性を発揮することが注目されています。これまでに、ビタミンEの同族体であるトコトリエノールがエストロゲン受容体に結合することで神経細胞を保護することを、パーキンソン病モデル細胞およびモデルマウスを用いて明らかにしました。また、ビタミンEやCoQ10が細胞極性を亢進させることで、傷の修復を促進する効果があることも確認されました。これらの研究結果は、介護が必要となる神経変性疾患や重度の褥瘡の予防に寄与する可能性があります。さらに、他大学との共同研究により、うま味成分の摂取が身体活動を活発化させるメカニズムについても検討しています。これらの基礎研究の成果が、高齢者のみならず全世代の健康維持・増進、ひいては健康寿命の延伸に寄与することを期待しています。

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  • 私たちの生物科学科では、植物を中心に分子や細胞から生態系に至るまで、生物の進化や多様性の本質を学びます。また、「食」「資源」「環境」に関わる課題を解決し、持続可能な社会の構築に貢献することを目指しています。女子大学ならではの環境で、あなたの感性やアイデアを活かし、女性リーダーとしての力を育てることができます。ここで得られるのは、専門知識だけではなく、柔軟な発想と共感力、そして他者と協力しながら新しい価値を創造する力です。3年次からは、生命の神秘を探求する生物科学コースと、食や環境に焦点を当てた食・環境開発コースに分かれ、さらに専門的な学びを深めます。私たちと共に、生命の探求を通じて未来を切り開き、より良い社会を創り上げましょう。
  • 学科長 : 長沼 毅

    筑波大学第二学群生物学類卒業。筑波大学大学院生物科学研究科修了。海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・独立行政法人海洋研究開発機構)研究員、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校海洋科学研究所客員研究員、広島大学大学院統合生命科学研究科教授を経て、2025年4月から安田女子大学理工学部生物科学科の学科長として着任予定。

    主な専門は極限環境の生物学、生物海洋学。深海・地底・南極・北極・砂漠など、世界の辺境に生息する極限生物を探し、地球外生命を追究し続けている。第52次南極観測隊員。宇宙飛行士採用試験で二次選考まで残った経験をもつ。「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれ、テレビ出演や著書も多数。

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極限環境に生息する生物に関する研究

深海や地底、南極、北極、砂漠など世界の辺境に足を運び探究を続けています。近年は「地衣類」といって菌類(カビ)と藻類(藻)が共生して形成される生物について研究を続けています。 「地衣類」は、カビが藻にハウスのようなものを提供して、過酷な環境から藻を守ります。一方、藻は光合成をして栄養をつくり、余った栄養をカビにあげます。こうした共生関係により、極地や高山、砂漠などの過酷な環境でも繁栄する大変たくましい生き物です。南極でもひときわ過酷な「ドライバレー(乾きの谷)」と呼ばれる地域があります。ドライバレーは南極にありながら、雪の積もらない砂漠地帯です。この地域では夏でもマイナス7℃、冬はなんとマイナス50℃にもなり、強風のために雪は積もりません。 年間数十ミリの降水量でわずかな水分もすぐに蒸発してしまうため、湿度はほぼ0%。とても生物など存在できないと思われる、この場所にも地衣類は岩に張り付いて生息しています。実はドライバレーの地衣類は、火星での生物の生存について考える上で重要なヒントを与えてくれると考えられています。火星の平均気温はマイナス63℃。とても薄い空気のほとんどは二酸化炭素のため、通常は生息が困難と考えられています。しかし、ドライバレーのように非常に過酷な環境でも生息する地衣類ならば、火星でも生き延びることができるのではないかと考えられています。

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  • 生物学は生命の多様性とその仕組みを理解するための探究の旅です。私はライフワークとして『地球外生物の発見』を目標に掲げ、世界各地を旅して未知の生物に出会い、その驚異に触れることで新たな発見を続けています。 研究紹介で取り上げた南極の地衣類が、火星での生命に繋がっていくように、地球規模で変わった生物を探し出し、その生態や特性を解明することは、宇宙のような厳しい環境でも存在し得る生命の可能性を探る手がかりになると信じています。 大学での学びは、教科書を超え、実際のフィールドでの調査や実験を通じて、生きた環境に触れる貴重な機会を提供します。安田女子大学理工学部生物科学科では、高校生の皆さんの好奇心や探求心を応援する教育環境と、皆さんの新たな発見や驚き、喜びを応援する教員が揃っています。 皆さんもぜひ、本学科で生物学の深奥に触れ、生命の秘密を解き明かす旅に出てみませんか。情熱と好奇心を持って、新たな発見を一緒に追い求めましょう。
  • 石川 裕規

    名古屋大学農学部卒業、名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程修了(農学博士)、マイアミ大学医学部研究員、東北大学薬学研究科研究員、学術振興会特別研究員を経て、2012年より沖縄科学技術大学院大学(OIST)の准教授として免疫シグナルユニットを主宰。2024年に安田女子大学薬学部に着任、2025年から理工学部生物科学科に着任予定。専門は分子生物学、免疫学。感染症、自己免疫疾患、がんなどの疾患に関連する免疫の分子機構を解明するための基礎研究に取り組んでいる。

免疫シグナル伝達

免疫反応を分子レベルで理解するための研究を主に行っています。免疫は感染症やがんを抑える役割を担う一方で、その過剰反応はアレルギーや自己免疫疾患を引き起こします。そのため、免疫反応に関わる分子は、様々な病気の治療のための標的となります。私たちはこれまでに自然免疫シグナル伝達因子STINGや、T細胞反応を制御する転写因子JunBの役割を解明しました。また、新型コロナウイルスワクチン反応に関連する腸内細菌の特性も見出しています。さらに、学際的な研究にも取り組み、インフルエンザウイルス感染症の新たな治療法としてエタノール吸入法を提案しました。他にも、細胞ストレス応答と免疫の関係、発達障害に関わる免疫反応、加齢が免疫に与える影響に関する研究も進めています。安田女子大学では、これまでの研究を発展させるだけでなく、様々な研究分野の専門家および学生と交流することで新しい研究課題を見つけていきたいです。

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  • 生命科学は、生命現象を細胞や分子のレベルで理解することで、生活の質を高めることや病気の治療法の開発につなげることを目指すものです。私たちの生活や健康は、驚くほど多くの分子や細胞が体のなかで規則正しく働くことで支えられていますが、多様で複雑な生命現象の仕組みには多くの謎が残されています。学生のみなさんには、それぞれの知識、経験、興味を活かして独自の視点で生命現象を考え、自身が心から面白いと思える生命科学の問いを見つけてほしいです。そしてそれを明らかにするための研究を一緒にできれば嬉しいです。あなたにしかできない研究があり、それは思いがけない大発見につながるかもしれません。生命科学の研究を通して習得できる、問題を発見し解決する能力や技術は、研究職だけでなくあらゆる職種で活かされるはずです。自分の可能性を信じて、ぜひ生命科学の研究に挑戦してください。
  • 武田 征士

    大分県大分市出身。京都大学理学部卒、同大学院修士・博士課程(理学・生物学)修了。英国ジョンイネスセンターで3年間ポスドク研究員を務めた後、奈良先端科学技術大学院大学で特任助教、京都府立大学で助教・准教授として勤務し、2025年4月より安田女子大学に着任予定。植物器官の発生、植物と昆虫の相互関係、持続可能な食料生産システムについての研究を進めている。研究成果を事業化するため、大学発スタートアップ企業・未来食研究開発センター(株)を設立、取締役を務める。著書に「地球・生命ヒストリー」「植物を学ぼう、植物に学ぼう」。趣味はクラシックギター、マンドリン、サイクリング、トレイルハイクなど。

    未来食研究開発センター株式会社
    https://futurefood-rd-center.com

環境負荷をかけない循環型食料生産システムの構築

植物は、光合成によって太陽光を最も効率よく利用しています。また、昆虫は我々よりもはるかに植物を巧みに利用しています。この植物と昆虫の関係性に注目して、環境負荷をかけない持続的な食料生産システムの開発を進めています。今、食料生産は気候変動、温室効果ガス(GHG)、担い手不足など、多くの社会問題を抱えています。これらを解決するため、矮性(背の低い)農作物と食用昆虫を組み合わせた「屋内環境循環型アグリシステム」を構築して研究を進めています。今後は様々な農作物の小型化、栽培最適化などの研究を進め、我々が生きていくために必要なものをすべて室内で生産できるシステムを作っていきます。これにより、これまで食料生産ができなかった都市オフィスや地下室、さらには宇宙空間での食料生産が可能になります。

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  • 私たちが生物である以上、すべての人が生物学を学ぶべきと考えています。生物を見ていると、人間の悩みや社会問題がちっぽけなものに感じてきます。答えは自然にあり、生物学はその答えを探す学問です。生物を学ぶ(というより、生物から学ぶ)のに、特にこれが必要、というようなものはありません。ただ、ツールとしての知識があると、世界が広がります。例えば、葉の付き方(葉序)やカタツムリの殻のようならせんパターンは簡単な数学で説明できますし、生物を構成する物質だと化学、生物の動きは物理、アサガオのような江戸時代から続くものを研究しようとすると古典(国語)、国際共同研究を進めるのに英語が必要です。さらに、自然がもつパターンの理解には美術的なセンス、音響生物学のような分野では音楽センス・・・つまり、自分が好きな分野を武器として磨くことで、自分なりの生物学ができるという事です!今やっている勉強は、どれも決して無駄になりません。その中で自分の武器を見つけてピカピカに磨き、大学で一緒に生物を研究しましょう。
  • 岡田 悟

    東京大学理学部生物学科卒業後、東京大学大学院新領域創成科学研究科にて、先端生命科学専攻で修士(生命科学)、情報生命科学専攻で博士(科学)を取得。その後、米国ペンシルバニア大学医学部博士研究員を経て九州大学大学院医学研究院助教。2025年度より安田女子大学理工学部生物科学科に着任予定。学生時代から現在に至るまで一貫して出芽酵母をモデルとした分子生物学・細胞生物学分野の研究に携わってきた。現在はCRISPR-Casシステムを利用したゲノム編集・ゲノム操作技術の開発に取り組むとともに、ゲノム編集技術の根底にある、細胞の持つゲノムDNA修復機構の理解を目指している。

CRISPR-Casシステムを利用したゲノム編集技術の開発

出芽酵母をモデルとして、CRISPR-Casシステムを用いたゲノム編集技術の開発・活用に取り組んでいます。出芽酵母は、パンやビールの発酵に使われる身近な微生物であると同時に、その単純な構造と操作のしやすさから、がんや遺伝病のメカニズム解明や新しい治療法の開発といった最先端の研究に利用される重要なモデル生物でもあります。また、遺伝子改変された酵母は、バイオ燃料の生産や環境に優しい化学物質の合成にも役立っています。CRISPR-Casシステムは、細菌が持つウイルス防御機構に由来する、DNAを特定の位置で正確に切断・改変できる画期的な技術であり、近年、病気の原因解明や新薬開発、農作物の品種改良など、さまざまな分野での活用が進みつつあります。より高度で複雑なゲノム操作を可能にするため、ゲノム編集技術の基盤である、細胞自身の持つゲノムDNA修復機構の解析も進めていきたいと考えています。

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  • 生物科学を学ぶことで、生命のしくみを理解し、その謎を解く力を身につけることができます。しかし、得られる能力はそれだけにとどまりません。データの収集や分析、論理的思考、問題解決能力といったスキルは、科学研究はもちろん、医療、環境保全、食品開発、公衆衛生、行政など、幅広い分野で活かすことができます。また、研究や実験では協力が不可欠です。これらを通じて磨かれるチームワークやコミュニケーション能力は、将来のキャリアにおいて大きな強みとなるでしょう。学生生活の中でさまざまな分野に触れ、自分が心からわくわくするものを見つけ、その情熱をぜひ深く追求してください。生物科学を学び、実践する過程で、そのわくわく感を仲間と分かち合う瞬間が訪れることでしょう。その情熱を胸に、将来、生物科学で培ったスキルを活かして、新たな課題に挑戦し、さまざまな分野で活躍する機会がきっと皆さんを待っています。
  • 玉木 峻

    島根大学生物資源科学部卒業。鳥取大学大学院連合農学研究科で博士(農学)を取得。その後、神戸大学、帝京大学、理化学研究所の研究員を経て、2025年から安田女子大学理工学部生物科学科に着任予定。学部生の時から一貫して光合成微生物(ミドリムシ)の有用物質や環境応答に関する研究に取り組んでいる。

光合成微生物による有用物質生産

光合成をする微生物には、植物プランクトンとして知られるイカダモ、ミカヅキモ、ボルボックスなどがありますが、ミドリムシ(学名ユーグレナ)は近年、産業界で大きな注目を集めています。ミドリムシを大量に培養することで、大気中の二酸化炭素を吸収し、サプリメント、燃料、プラスチックなどの様々な素材を作ることができます。そうしたミドリムシの有用物質が細胞内でどのように合成され、蓄積するのかを解明していくことで、有用物質を生物的に大量に生産する方法の開発を目指しています。石油や石炭などの限られた資源を消費するのではなく、微生物を利用して生産することは、地球温暖化の抑制や持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献します。

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  • 生物を細かく調べていくと、そのシステムは非常に複雑で、われわれ人間の想像をはるかに超えています。教科書に書かれていることや、研究者の研究成果はそのごく一部でしかありません。だからこそ、生物学は分からないことばかりで興味がつきません。私は大学に入学してすぐに、セントラルドグマと呼ばれる遺伝子発現システムを知り、生物はなんてすごいことをしているんだと興味を持ち、もっと学びたいと思いました。高校生の皆さんも生物学を学ぶ中で、「推し」の生物や生命現象に出会うかもしれません。その出会いを大切にして、われわれ生物科学科の先生たちとともに学び、探求してみませんか。
  • 村上 千穂

    京都府立大学農学部卒業後、薬剤師を志し名古屋市立大学薬学部に進学・卒業。薬剤師免許を取得するも、さらに研究を志し、広島大学大学院理学研究科に進学し、博士号(理学)を取得。出産・育児から復帰する人のための日本学術振興会特別研究員RPDに採用され、2018年より安田女子大学の薬学部に助教として着任し、現在に至る。2025年度より理工学部に着任予定。農学・薬学・理学・工学に貢献できるような研究を展開予定。

難培養性微生物の増殖開始に着目した分離培養法の研究

自然環境中の微生物の99%は、現在の技術ではほとんど人工培養できません。自然界には、約40門の微生物の門が存在すると言われていますが、正確な数字は今だ分かっていません。この内、培養されている微生物のほとんどは、たった5門に属します。このように、通常の培養方法で培養できない微生物を一般的に難培養性微生物といいます。一方で、人類は昔から微生物の恩恵と共に文明や科学技術を発展させてきました。これらの微生物の多くが未利用・未開拓で残されているのは、人類にとって非常にもったいないことです。また、微生物学は、個性あふれる微生物が各論で語られる学問ですが、私は微生物の普遍性に強い興味を抱きました。それが、微生物の増殖開始です。微生物は何をきっかけに増殖を開始するのか?そこに普遍性はあるのか?という理学的発想と、微生物由来の有用物質を得るために培養するという工学的発想で研究を進めています。 

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  • 現在、主流の培養方法である寒天平板法は、約140年前にドイツのロベルト・コッホにより発明された方法で、今でも世界中で使われています。この寒天平板法の真の発案者は、コッホの妻であるファニー・ヘッセです。しかし、彼女の功績が語られることはあまりありません。このように有名ではなくても、科学に貢献してきた女性は数多くいます。科学研究は、問題を解決するために、論理的思考能力、実験技術、発想力、文章作成能力(日本語・英語)、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、継続力、主観性・客観性、俯瞰的な視点といった多くの能力を要求される総合格闘競技ですので、現在、高校では理系でなくても、何かに夢中になれる人には適正があります。是非、日本初の女子大理工学部で、個性あふれるリケジョ達と一緒に研究しましょう!
  • 渡邊 俊介

    広島大学理学部生物科学科卒業。同大学大学院理学研究科にて博士(理学)を取得。その後、2015年より理化学研究所環境資源科学研究センター研究員、2021年よりフランス国立農業・食料・環境研究所(INRAE)ポストドクトラルフェローを経て、2024年から安田女子大学薬学部に着任、2025年から理工学部生物科学科に着任予定。植物の多様な代謝系に興味を持ち、これまで一貫して植物代謝物の生理機能やその分布形成メカニズムの解明に取り組んでいる。

機能性代謝物を巧みに利用した植物の環境適応戦略の解明

植物は複雑で多様な代謝系を備えており、数千から数万種を超える代謝物(化合物)を産生していると推定されています。これは、常に変化する自然環境に柔軟に適応する植物の基礎的仕組みとして捉えられ、温度や光、土壌水分量などの環境要因の変化に即応して、細胞保護作用やシグナル作用を持つ代謝物(機能性代謝物)を駆使することで、植物は環境に適応しています。言い換えれば、代謝物機能を理解することは、植物がどのように生きているのか、その成長生存戦略を理解することといえます。私の研究では、植物が産生する機能性代謝物の新規同定、およびその生理活性が発揮されるメカニズムを分子レベルで解明することを目指しています。特に、代謝物が適切に機能するために重要な「代謝物分布」に焦点を当て、分布形成機構の理解から植物の巧妙な生き様を紐解いていきます。これまでに、植物の乾燥耐性に重要な役割を持つ代謝物の生理作用や、根の重力屈性に関わる代謝物の輸送メカニズムを明らかにしています。

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  • 皆さん、植物を目にしない日はないのではないでしょうか。スーパーに陳列された野菜や庭の花木など、植物はとてもありふれた存在として、私たちの暮らしに溶け込んでいます。食用としては勿論のこと、サステナブル社会の実現を目指す近年では、リサイクル可能な資源の活用という観点からも、植物は益々その重要性を増しています。一方で、急激な気候変動が進む現在の自然環境は、植物にとっても決して易しい環境とはいえません。これを克服するため、植物の潜在的な能力を引き出すバイオテクノロジーの発展と、その担い手である、専門知識と課題解決力を備えた理系人材の活躍が期待されています。本学で、植物科学の学びから生命を知り、研究を通して、未知を解き明かしたときの感動を一緒に体感してみませんか。そして、その経験を活かし、理系人材として社会で活躍してみませんか。科学研究の原動力は好奇心です。少しでも興味があればぜひ挑戦してみてください!「皆さんの好奇心」に会える日を研究室でお待ちしています!
  • 磯田 珠奈子

    京都大学理学部卒業。京都大学大学院理学研究科(生物科学専攻)博士課程修了。学位取得後、県立広島大学教育研究スタッフを経て、2025年から安田女子大学理工学部生物科学科に着任予定。学部生時代に時間生物学の授業を受け興味を持ったことをきっかけに、植物の体内時計や花成メカニズムについての研究をはじめる。最近はウキクサを選択的に食べるウキクサミズゾウムシという昆虫にも関心を持っている。

ウキクサ植物の体内時計の多様性と花成誘導メカニズムの解析

地球の自転に伴って昼夜が生まれ、私たちを取り巻く環境は変化します。この環境変化に対応するために、多くの生物は約24時間周期の体内時計を持っています。これは植物も同じで、この体内時計によって植物は光合成を制御したり、適切な時期に花を咲かせたりすることができるのです。私はこの体内時計を研究するために、ウキクサという小さな水生植物を使っています。ウキクサ植物は世界中に広く分布していますが、地域や種によっても体内時計の性質は様々です。また、ウキクサの花を咲かせるきっかけとなる環境要因も、種によって違いが見られます。この研究を通して、植物がどのように環境に適応しているのか、その仕組みを解き明かしたいと考えています。

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  • 植物の名前を一つ知るだけで、世界が今までとは違った輝きを持って見えることがあります。私は大学でウキクサという植物に出会って、なんだか好きだなと感じたことが研究の始まりでした。高校生の皆さんの中には、自分が好きなことがわからずに悩んでいる人もいるかもしれません。でも、大丈夫です。知らなければ興味を持つこともできません。ぜひ安田の理工学部で、たくさんの人に出会って、たくさんの知らなかったことに触れて、自分の"好き"を探してみてください。

教員・研究テーマ

※生物科学科には計16名の教員が着任予定です。2025年4月の学科開設までに順次ご紹介いたします。

  • 氏名職名研究テーマ学位
  • 松浦 達也教授(学部長)生化学、ビタミン学、酸化ストレス学、肝臓病学博士(医学)
  • 長沼 毅教授(学科長)極限環境の生物学、生物海洋学、深海生物学、微生物生態学、系統地理学、水圏生命科学博士(理学)
  • 石川 裕規教授分子生物学、免疫学、免疫シグナル伝達、免疫転写制御機構博士(農学)
  • 武田 征士教授植物発生学、植物分子遺伝学、植物生理学、植物・昆虫相互作用博士(生物学)
  • 岡田 悟講師分子生物学、酵母遺伝学、ゲノム編集、細胞生物学、生細胞イメージング博士(科学)
  • 村上 千穂講師環境微生物学、微生物生態学、極限環境微生物、応用微生物学、分子生物学、分析化学、酵素科学、構造生物学 博士(理学)
  • 玉木 峻講師微生物学、生物化学、水圏生命科学、光合成微生物による有用物質生産博士(農学)
  • 渡邊 俊介講師植物生理生化学、機能性代謝物を巧みに利用した植物の環境適応戦略の解明博士(理学)
  • 磯田 珠奈子助教植物生理学、時間生物学、ウキクサ植物の体内時計の多様性と花成誘導メカニズムの解析博士(理学)
  • 玉井 美保助教応用分子細胞生物学、生命システムのさまざまな機能・役割を解明するためのモデル構築博士(工学)