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作品紹介 濵林美帆さん「私にとっての都市」

2022.11.10

  • 学科コラム

造形デザイン学科3年生の濵林美帆さんが「絵画Ⅲ」の授業で制作した課題作品をご紹介いたします。作品名は「私にとっての都市」です。この作品は、たんぽぽの綿毛がふわふわと飛ぶ様子を、3Dホログラムを使って立体映像で表現しています。たんぽぽの綿毛の部分は立体映像で表現し、茎と葉は絵画を使った折り紙で表現しています。綿毛の立体映像を映し出している3Dホログラム装置は、アクリル板とMDF、そしてタブレット端末でできています。アクリル板とMDFの形状は、Adobe社のillustratorを用いて設計されました。その設計図を基に、レーザーカッターでアクリル板やMDFから部品を切り出し、それらを組み立てることで3Dホログラム装置ができています。タブレット端末は、3Dホログラム装置の形状から計算されて作られた2次元の映像を再生しています。その2次元の映像を3Dホログラム装置に投影することで3次元の立体映像になります。映像制作にはAdobe社After EffectsとAdobe社 Premiere Proを用いました。

濵林美帆さんからのコメント(広島県立安古市高等学校卒)
私にとって都市とは流行を代表的に発信していくイメージでした。しかしSNSが普及してからは様々な地域がまるで従来の都市のように、情報を発信していき、誰でも簡単に流行を作ることが可能になりました。私が日常生活で流行を感じるのは「言葉」です。SNSのコメント欄では、翻訳に翻訳を重ねたような一目では理解しづらい流行言葉がたくさんあります。この作品は日本各地で生息しているたんぽぽを情報発信者と見立て、飛んでいく綿毛を流行言葉の拡散に見立てることで、良くも悪くも簡単に他の地に根付いていきます。

授業担当教員からの講評(池田嘉人准教授、専門は絵画、インスタレーション、映像、写真)
課題に取り組み始めた当初は、人のもつ都市的側面と自然的側面について考察し試行錯誤していましたが、流行を感じさせる言葉がそうであるように、日常的であるタンポポというモチーフを手掛かりに制作を展開し直していました。おそらく「自然と都市」という大きなテーマにおいても、やはりヒントは日常にあり、身近なものを再認識することの重要性に気づいたからなのかもしれません。そうした直感的な洞察力と感性に加え、紙飛行機でも作るかのように軽やかに3Dホログラムを制作するそのフットワークは、濱林さんの技術と表現力の高さを強く感じさせます。今後の創作研究と活躍に期待します。

 

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濵林美帆さん


池田嘉人准教授