

STAYS(アメリカ派遣6ヵ月留学)引率者コラム
―A Letter from Pittsburgh―
2021.11.19
アメリカ・ピッツバーグに学生54名とともに到着して1週間が経ち、ようやく生活が落ち着いてきました。本来ならば1年以上前に留学するはずだった学生たちは、このコロナ禍の中、念願の留学をいよいよ開始しました。
「海外留学とコロナ禍」という水と油の状況の中、大学での学びの重要な柱となる留学を絶やすことなく安全に実現させるために、大学としてここまで様々な取り組みや支援を行い、全国的にまだ前例の少ない海外留学の再開を果たしました。
この「引率者コラム」では、そのような大学としての取り組みに加え、この状況下における留学で学生たちがどのように毎日を過ごしているのかについて、このピッツバーグの土地からお伝えしていきたいと思います。
11月11日の出発の日、広島空港からピッツバーグの移動は特に大きな問題もなく、入国審査時も、事前に大学が準備していた宣誓書やコロナ対応の各種書類をオリエンテーションで配布・周知していたので、学生たちは全員無事入国することができました。現地到着翌日にホストとの初対面、そして初めての週末を経て、翌週月曜日に学生はオリエンテーションを受けました。そして火曜日からいよいよ対面の授業が始まりました。
その他、空き時間には、キャンパスツアーや市内ツアーが行われ、学内施設や公共交通機関の利用の仕方が指導されました。加えて、現地の学生との交流の機会も積極的に提供され、学生たちはあわただしくも充実した最初の1週間を過ごしていきました。
出発時から今日にいたるまで、引率者として心の底から思うのは、「STAYSを実施して本当に良かった」ということです。その理由は、学生を見ていて本当に嬉しそうに楽しそうに毎日を過ごしているからです。今回のSTAYSはコロナ禍の影響で出発が遅れ、例年よりも留学期間が短いことに加え、ピッツバーグでの新生活や大学の講義への順応など大変なこともあると思いますが、学生たちはそれでもしっかりとこの状況を受けとめ満喫しています。そして今回アメリカに来られたことを本当に貴重な経験だと思っているようです。
またこちらの大学のスタッフも学生を大歓迎してくださり、いつものように懇切丁寧にご対応をいただいております。これも大変ありがたいことだと常々感じております。我々の学生54名が、このパンデミックの中でピッツバーグ大学へ外国からやってきた初めての大きな規模でのグループだとのことです。
この3年生に関しては、私自身もこれまで何度もSTAYS実施をあきらめかけていました。しかし、6月末から先駆けて開始となった安田女子大学内での職域接種で完全に風向きが変わりました。留学予定者の2回のワクチン接種は9月上旬までにすべて完了し、学生たちはワクチン接種証明書を取得することができました。同時に、アメリカの大学側も授業再開を宣言し、あとは必要とされるコロナ禍における複雑な手続きを一つずつ丁寧に学内の担当部署が中心となって進めてきました。また、出発の2日前に大学内で一斉にPCR検査を行い、アメリカ入国時に必要な英語による指定された様式の陰性証明書を留学予定の学生全員が無事に取得することができました。
奇しくも、出発直前にアメリカ入国に際しては従来の陰性証明書に加え、ワクチン接種証明書が必須となりました。我々は用意周到に準備をしていたので、これにも問題なく対応することができました。今になって思えば、6月に開始した職域接種会場に立候補した大学の判断が少しでも遅れていたら、今回の留学の実現はまず不可能であったと思います。
また、現地大学でもコロナ対策は十分に取られています。現地大学内では、建物に入る際に毎朝学生証で入構登録し、近辺で感染者が万一発生した場合でも、その周知や接触者の確認が取れるシステムが構築されています。もちろん学内のあちこちには感染対策を促すポスターや消毒液が日本と同じく設置されており、建物内ではマスクの着用が義務付けられています。建物内では密を避けるための部分的な利用制限があったり、飲食をする場所も厳格に指定されており、皆それに従っています。
このような対策の行き届いた環境下で留学生活を元気に開始した学生たちですが、もちろん既にホームシックになっている学生や、ホストファミリーに対する問題を抱えている学生もいるようです。しかし、それも本人たちが自分で積極的に動いて解決してくれることと願っております。このような形での留学の中で、良いことも辛いことも含めて、すべての経験が大学生活の満足度だけでなく自らを大いに成長させるとともに、将来の大きな糧になると思います。
このコラムでは、次回から本格的に学生の留学先での学びについて、現地の様子が良くわかる写真とともにさらにお伝えしていきたいと思います。こちらは急に寒くなり最低気温がマイナス近くになってきています。日本もそろそろ本格的な冬になってくると思いますが、皆さまくれぐれもご自愛ください。
英語英米文学科 山川 健一
※写真撮影のときのみマスクを外しております