

プレミアムクルーズ・インターンシップに参加して
2016.05.16
安田女子大学の英語英米文学科には、高い英語力を駆使して、在籍中から海外で活躍する学生がいます。今回ご紹介する2年生の田中舞さんもその一人です。彼女が参加したクルーズでのインターンシップ体験に耳を傾けてみましょう。
(写真は、雄大なミレニアムクルーズ)
スタッフジャンパーを着た後ろ姿
2015年10月10日から10月16日の7日間、「台湾・沖縄プレミアムクルーズ」でのインターンシップを高校時代の恩師からご紹介いただき、通訳のお仕事で参加させていただきました。この船は12階建ての大きな船で、海に浮かぶデパートのような印象を持ちました。クルーは全員外国人だったため英会話が必須であり、さらに仕事内容によっては一般常識も必要でした。豪華客船スタッフの一員として、私の役割はレストラン担当者としてお客様のオーダーやクルーの抱える問題に対する意思疎通を図るための通訳でした。私は大学生ではなく、船員の一人なのだという自覚を持って業務に励みました。
船内レストラン
英語を実際に使ってお客様に対応するので、どのような質問をされるか事前には分からず、また、テーブルマナーも知っておかなければなりません。お酒や食べ物の種類は見たこともないほど豊富で、説明するのがとても難しかったです。食事のお勧めなどを聞かれることも多々ありました。その時にはウェイターが言うことをその場で通訳するという、同時通訳に近い初めての体験をしました。ウェイターは何を言うか予想ができませんが、私たちはそれをお客様に正しく説明することが求められました。ワインのサービスがあったのですが、どのワインを選べば良いかについて日本人スタッフとクルーの意見に違いがあり、難しい状況もありました。一番苦労した通訳は、ワインの飲みやすさやアルコール度数についての通訳です。私の参加した豪華客船は美食のクルーズといわれるほど名が高く、食事面に力を入れていました。もちろん私はワインなど飲んだことがなく、種類や味などもわかりません。お客様相手なので慌てふためくことも厳禁です。事前に勉強していたレストラン用語を駆使して通訳に活用しました。
シェフの催し物
お客様の少ない時間帯には、船員と会話をする機会がありました。インドやフィリピンから来られた方が多数おり、訛りのある発音に戸惑い、最初は耳を慣らすのに必死でしたが、様々な国籍の方々の英語に触れることはとても貴重な経験でした。相手の話す速さに応じて話すので最初は耳がついていきませんでしたが、話していくうちに3秒くらいですぐに反応することにも慣れてきました。また、私は日本文化や日本語についてたくさん質問され、大変勉強になりました。クルーの方々は、会うたびに優しくHow are you? Everything is ok? (調子はどう?大丈夫?) と声をかけてくださったので、相手を思いやる文化を学びました。このことが、緊張感や疲労感の中で、通訳に追われ走り回ったり、難しい状況に直面したりと笑顔をなくしそうになった私を、リセットしてよりいっそう頑張ろうと思わせてくれました。さらに、一緒に参加した仲間たちとの団結力も強まり、絆も深まりました。
クルーズメンバー
プレミアムクルーズに参加し、英語を使って仕事をする楽しさと達成感を感じつつも、お客様に満足してもらうために陰でこんなにも沢山の人の努力があることを知りました。問題点や改善点を出し合いその日のうちに解決し、翌日から実行する、という将来どのような職に就いたとしても忘れてはならない仕事のサイクルを、この経験を通して直接学ぶことができました。また同時に、自分自身の英語力はまだまだだと痛感し、これから約半年間の留学もあるのでよりいっそう英語力を磨いていかなければと強く感じました。
客船最上階デッキ
将来なりたい職業は、今はまだはっきりと決まっていませんが、何か英語をツールにした仕事に就きたいと思っています。今回の豪華客船スタッフとして働いた証である自分の名札から思い出される7日間。これらの日々は、私の中で大きな財産になりました。挫けそうになったときや迷ったときは、この黄色の名札を見返して、ここに詰め込まれた経験と思い出を再確認したいと思います。このような機会を与えてくださった恩師をはじめ、船員の方々、スタッフ、そして一緒に奮闘した素晴らしい仲間たちに改めて感謝します。Thank you so much!
黄色の名札とパスポート