

日本語教育実習:日本語を教えるという経験
2022.02.11
(「実習記録」とともに)
英語英米文学科では、所定の科目の単位を取ることで、日本語教員資格を取得することができます。その中に「日本語教育実習」があります。学生達は、日本語教授を実施している外部団体の活動にボランティアとして参加をさせてもらいます。この2年間のコロナ禍で、団体の活動自体が中止されていた時期もありました。また、初めてオンラインでの活動もありました。今までとは異なる経験を経ながら、この実習を終えました。そこでは、中国、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、台湾、ウクライナ、米国、と様々な国の方の日本語学習に関わらせていただきました。今回、4年生3人が感想を寄せてくれました。この3人はそれぞれ違う団体に参加させていただきました。
日本語教授の活動を始めた当初は、緊張と不安から、会話が続かなかったり、うまく弾まないことがありました。他にも、すぐに例文や理解しやすい文章が思いつかないことや、単語の意味を上手く説明できないといった場面がたくさんあったように思います。特に、普段の話し方の癖で擬音を使ってしまって相手にきちんとした意味が伝わらないことがあり、それを改善することに苦労しました。
しかし、色々な苦労はあっても、中国、ベトナム、インドネシアなど様々な国の方と交流をしていく中で、それぞれの文化や母国と日本での暮らしの違いなど異文化についてより理解をし、多くの事を学ぶことができました。私の話を一生懸命聞いてくれて、時にはたくさんの質問を率先してくれるので、だんだんと活動日が楽しみになっていったのをとてもよく覚えています。また、活動終了後に「今日もとても楽しかった!」と笑顔で声をかけられた時は、本当に嬉しかったです。
この日本語教育実習を通して、言語の習得だけでなく多岐の事を学ぶことができ、私にとって大きな経験になったと感じています。(空井さん)
私が参加させて頂いた日本語教室には、日本語を真剣に学びたい、習得したいと強く思う生徒の方々がたくさんいらっしゃいました。参加をさせていただき、日本語の複雑さと日本語教室の先生方の素晴らしさを実感しました。
そこで特に学んだことは、それぞれの生徒に合った学習の仕方を見つけ出すことの大切さでした。例えば、サスペンスの小説を好んで読む生徒には、サスペンス要素を交えて単語を教えたり、英語を交えて教えると反応が良かった場合は英語を交えて教えたりと、様々な発見から工夫をしてみました。教えた際に、とてもすっきりとした顔で帰っていく生徒さんや、楽しそうに日本語を学ぶ生徒さんを見ると、私自身とてもやりがいを感じましたし、励みになりました。
この日本語実習を通して、日本語を教えることの難しさを再認識するとともに、同じように言語を学ぶ者として刺激を受けました。とても貴重な経験となったと思います。(竹野さん)
私が参加をさせていただいた団体の教室では、基本的に授業は全て日本語で行います。しかし、学習者の中には、日本に働きに来られて、仕事以外で使う日常生活での日本語を上達させるために、週末に学びに来られている方もいます。そういう方は、日本語で会話しようとするとストレスを感じられることもあるそうです。そのため、授業では、学習者の日本語レベルに合わせて、「今日のテーマ」を決めていました。例えば、日常会話を目標にするなら普段よく使う言葉を覚えてもらう、日本語能力試験が近いなら漢字の読み方や意味について解説する、などです。
実際に授業をさせていただいくと反省点も多々ありました。例を挙げると、「通じて(つうじて)と通して(とおして)の意味の違いは何か」と尋ねられた際、すぐには答えられませんでした。普段何気なく使っている言葉の数々の意味を、日本人は無意識に考えることなく使っているのです。困った場合は、周りのベテラン指導員の方が補助してくださり、学習者の方には何とか納得していだだけました。また、毎回決まった学習者の方が来られるとは限りません。私の場合は、タイ、アメリカ、台湾、そして中国出身の方々とペアを組ませていただきました。一緒に行う会話では、「今日、日本は七夕です。タイのお祭りについて教えてください。」などお互いの文化について説明し合うこともあり、新しく知ることばかりだったように思います。
コロナ禍で、思うように授業が行えず、オンラインで活動を行うことも数回ありましたが、そこでの授業はとても楽しかったです。今はコロナ禍で活動が難しいかもしれませんが、また状況がよくなったら参加をさせていただきたいと思っています。本当によい経験になりました。(黒瀬さん)
自分達が英語を専門で学んできたことで、学習者の日本語学習の苦労も理解できると学生達はよく言います。それぞれの学習者の事情、文化背景、言語習得度を配慮して、試行錯誤をしながら工夫して教授をした経験は、これからの人生に活きることと思います。
※写真撮影の時のみマスクをはずしています