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【教員紹介】生物科学科の学科長に長沼先生が着任します!

2024.08.29

  • 学科紹介

2025年4月に開設が決定した理工学部生物科学に、学科長として着任される長沼毅先生をご紹介いたします!長沼先生には、今年4月~8月のRikoフェスで特別講演や模擬授業にご協力いただき、受講された高校生の方からもご好評をいただいておりました。
長沼先生は、南極・北極や深海、砂漠など、世界の過酷な環境に生息する生物について専門に、様々なメディアにもご出演され、生物の持つ魅力・奥深さを大変分かりやすく、そして面白く解説されておられます。そんな長沼先生が、来年4月からは安田女子大学の教員として教壇に立たれます!

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【プロフィール】


筑波大学第二学群生物学類卒業。筑波大学大学院生物科学研究科修了。海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・独立行政法人海洋研究開発機構)研究員、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校海洋科学研究所客員研究員、広島大学大学院統合生命科学研究科教授を経て、2025年4月から安田女子大学理工学部生物科学科の学科長として着任予定。

主な専門は極限環境の生物学、生物海洋学。深海・地底・南極・北極・砂漠など、世界の辺境に生息する極限生物を探し、地球外生命を追究し続けている。第52次南極観測隊員。宇宙飛行士採用試験で二次選考まで残った経験をもつ。「科学界のインディ・ジョーンズ」と呼ばれ、テレビ出演や著書も多数。


著書に『深海生物学への招待』、『生命の星・エウロパ』、『深層水「湧昇」、海を耕す!』、『ジュニア版 NHKスペシャル 地球大進化 46億年・人類への旅』(共同監修)など。 訳書に『生物海洋学入門』など。 テレビ出演に『プロフェッショナル 仕事の流儀』『嵐にしやがれ』『日本くぎずけ大学』など多数。


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【専門分野】

  • ・極限環境の生物学
  • ・生物海洋学 
  • ・深海生物学
  • ・微生物生態学
  • ・系統地理学
  • ・水圏生命科学

【研究テーマ】

  • ・極限環境に生息する生物に関する研究
  • ・チョウザメのメタボロミクスに基づいた肉・卵の高付加価値化に関する研究
  • ・地衣類の共生コンビネーションの可塑性と多様性
  • ・Dアミノ酸でよりよく成長する微生物の系統と代謝
  • ・東南極の湖沼におけるコケ坊主生物圏のゲノム解析

【近年の研究テーマについてご紹介いただきました】


極限環境に生息する生物に関する研究に取り組み、深海や地底、南極、北極、砂漠など世界の辺境に足を運び探究を続けています。近年は「地衣類」といって菌類(カビ)と藻類(藻)が共生して形成される生物について研究を続けています。


「地衣類」は、カビが藻にハウスのようなものを提供して、過酷な環境から藻を守ります。一方、藻は光合成をして栄養をつくり、余った栄養をカビにあげます。こうした共生関係により、極地や高山、砂漠などの過酷な環境でも繁栄する大変たくましい生き物です。これまで、南極やアルプス、ギアナ高地、南アフリカ、ウガンダとコンゴ民主共和国の国境に位置するルウェンゾリ山(アフリカで標高が3番目高い)などの地衣類について研究してきました。


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そのなかでも、南極は夏でも0℃、冬には最低でマイナス35℃を下回る極寒の地です。そして、その南極でもひときわ過酷な「ドライバレー(乾きの谷)」と呼ばれる地域があります。

ドライバレーは南極にありながら、雪の積もらない砂漠地帯です。この地域では夏でもマイナス7℃、冬はなんとマイナス50℃にもなり、強風のために雪は積もりません。年間数十ミリの降水量でわずかな水分もすぐに蒸発してしまうため、湿度はほぼ0%。とても生物など存在できないと思われる、この場所にも地衣類は岩に張り付いて生息しています。通常、地衣類はコケのように広がって生息しますが、ドライバレーの地衣類は岩の隙間に細い糸のような形状で生息しており、光合成に必要な光を得ながら、乾燥に耐え、少しの水でも生きています。


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実はドライバレーの地衣類は、火星での生物の生存について考える上で重要なヒントを与えてくれると考えられています。火星の平均気温はマイナス63℃。とても薄い空気のほとんどは二酸化炭素のため、通常は生息が困難と考えられています。しかし、ドライバレーのように非常に過酷な環境でも生息する地衣類ならば、火星でも生き延びることができるのではないかと考えられています。


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【高校生に向けたメッセージ】


生物学は生命の多様性とその仕組みを理解するための探究の旅です。

私はライフワークとして『地球外生物の発見』を目標に掲げ、世界各地を旅して未知の生物に出会い、その驚異に触れることで新たな発見を続けています。


研究紹介で取り上げた南極の地衣類が、火星での生命に繋がっていくように、地球規模で変わった生物を探し出し、その生態や特性を解明することは、宇宙のような厳しい環境でも存在し得る生命の可能性を探る手がかりになると信じています。

大学での学びは、教科書を超え、実際のフィールドでの調査や実験を通じて、生きた環境に触れる貴重な機会を提供します。安田女子大学理工学部生物科学科では、高校生の皆さんの好奇心や探求心を応援する教育環境と、皆さんの新たな発見や驚き、喜びを応援する教員が揃っています。


皆さんもぜひ、本学科で生物学の深奥に触れ、生命の秘密を解き明かす旅に出てみませんか。情熱と好奇心を持って、新たな発見を一緒に追い求めましょう。


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