

「トーホー株式会社」・「歴清社」の2つのプロフェッショナルの技術を学んできました
2023.12.15
地域活性化をテーマに研究&課外活動をしている山田ゼミの3年生6名が、トーホー株式会社広島工場(広島市安佐北区)と株式会社歴清社(広島市西区)の2つの工場を見学し、歴史的・文化的価値と世界に認められたオンリーワンであるプロの技術を学んできました。
この活動は、広島広域都市圏地域貢献人材育成事業の支援を受けて実施しています。
まず訪れたのは、「TOHO BEADS」というブランドで長く愛されてきたグラスビーズを製造している工場。山仲社長から昭和26年の創業以来守り続けているグラスビーズの伝統と歴史を学び、今回特別に広い工場内部を案内していただきました。
ガラス原料の調合から始まり、溶融炉で約20時間、1300℃もの高温で溶かされたガラスは、切断・洗浄・着色など実に30工程もの加工を経て、美しい色彩と輝きを放つビーズとなります。10,000種以上ものグラスビーズが出来上がる工程を間近で見学することを通して、古代より神を祈る装身具として使われてきたビーズの魅力を改めて知ることができました。
ひととおりグラスビーズの製造工程を学んだ後、「PEACE RING Project」の製作体験をしました。これは、トーホー株式会社が企画する「PEACE RINGを通じて世界中の人たちがつながり、共に平和を願いたい」という想いからスタートし、繊細なビーズを1粒1粒、糸と針で紡ぎながら、世界の平和や子供達が安心して過ごせる社会を一緒に願うプロジェクトです。
ビーズ1粒の重みを実感しながら、気に入った色・形状のビーズを選び、時間をかけて製作したPEACE RINGは世界に一つしかない宝物になりました。
続いて訪れたのは、1905年創業の株式会社歴清社。厚さ0.0004mmほど極薄の箔を1枚1枚手貼りしていく伝統的な技法と、金属箔の変色を劇的に抑えるオンリーワンの技術をもとに箔押し文化の魅力を世界に発信し、新しい可能性を追求し続けている会社です。
「空気と水以外なら、どんなものにも箔押しが出来ます」と熱く語る久永社長。長年の研究の末に辿り着いた独自製法で、変色・腐食がしにくい真鍮(しんちゅう)製の金箔紙を日本で初めて開発。その輝きは本金箔と見分けがつかないほど美しく、平均年齢が30歳半ばというクリエイターの方々の手さばきに思わず息をするのを忘れてしまうくらい圧倒されました。
その後アトリエに移動し、骨組のない紙だけでできた扇子に箔押し体験をする「創扇」に挑みました。
デザインが決まったら、竹筆や刷毛などを使い、乾くことで接着する特殊な糊を塗っていきます。そこに箔を載せてブラシで擦り、箔を定着させていきます。洋金、本銀、錫、アルミのほか赤貝、青貝、七彩など10種類以上もの箔があり、どの箔を使うか迷ってしまうほど。馴染ませていくと、初めてにしては躍動感のある模様が完成しました。
世界に誇れる日本の美意識と伝統を守りながらも、常に新しい挑戦を続ける「トーホー株式会社」と「歴清社」。
ゼミでは、連携する企業・自治体の方々の支援を受けながらフィールドワークを通して得た学びをもとに、広島が誇る2つの「ブランド」の価値を掛け合わせ、「飾る美・覗く美・心の美」という3つの美しさをコンセプトに広島の未来を明るく照らすような商品開発に全力で取り組んでいます。
今回、特別に工場を見学させていただき、製作指導をしていただいた皆様に心より感謝申し上げます。