

2025年度高大連携公開講座を開催しました
2025.08.18
今年の高大連携講座は、高校生向けに社会の中の法律の役割をスポーツのルールを使って分かり易く教えることを志しました。
今年度は25人が参加してくれました。1年生と2年生も若干名いました。高校生に90分授業は長いのではないかと思いましたが、間に休憩を入れなくても大丈夫だったようです。
題材には、2023年6月4日の全仏オープン・テニス女子ダブルスの試合で、日本の加藤未唯選手とインドネシアのアルディラ・スッチャディ選手のペアが、プレーが止まっている間の相手コート側への返球を危険球と判断され失格となった事例を取り上げました。
退屈しないように、目で見て分かるようにと、映像を見せながら、ルールとは何か、証拠とは何か、先例とは何か、そして選手から賞金と得点を奪うだけでなく、ダブルスであるが故に非のないペアの選手まで連帯して失格させるという重大な判定に本来必要とされるはずの「適正手続」について、具体的に考えました。
「草」スポーツは、もともと対戦チーム同士でその時その場の事情に応じたルールを取り敢えず作ってそれに合意した上でプレーするものです。罰を与えるためにルールを作るというよりは、楽しむために作るものです。ルールはスポーツという小さな「部分社会」を形成して、特定の目標のために一定の方法で競い合い、腕を磨きながら、ひろく一般市民社会の中でのより複雑な社会生活の営み方やチームワークの基礎を習得するためにあるべきです。だからこそ一般社会における法律にも通じるのだということを伝えました。
冒頭にアイス・ブレーキングとコミュニケーションがもっと必要でしたが、映像に基づいた質問には当てると答えてくれて、次第に積極的に手を挙げる生徒も出てきてくれました。終了後の生徒からの質問は、法律を勉強するためにおすすめの本でした。これは最も頭の痛い質問で、末弘厳太郎『法学入門』などが頭をよぎりながら、ちょっと答えに窮しました。
公共経営学科 幡新大実