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本学薬学科の医療免疫学分野、物理化学分野、医療製剤学分野と広島大学の共同研究成果が「Journal of Biological Chemistry」誌に掲載されました

2021.06.08

  • 学科コラム

本学薬学科の医療免疫学分野(森本 金次郎 教授、佐藤 雄一郎 准教授)、物理化学分野(的場 康幸 准教授)、医療製剤学分野(羽鳥 勇太 講師)と広島大学の共同研究成果「Lectins engineered to favor a glycan-binding conformation have enhanced antiviral activity」が「Journal of Biological Chemistry」誌に掲載されました。(https://doi.org/10.1016/j.jbc.2021.100698

医療免疫学分野では、各種レクチンの抗ウイルス作用(抗インフルエンザウイルス)について、継続して研究しています。これまでの研究において、細菌の一種であるシュードモナス属由来レクチン(PTL)はウイルス表面の糖鎖に結合することで、高い抗ウイルス活性を持つことが示されています。本論文では、先ず、このPTLを精製し、X線結晶構造解析を行いました。その解析により、分子内に2か所ある糖鎖結合領域(モチーフⅠとⅡ)における詳細な結合様式が明らかとなり、モチーフⅡの糖結合能がモチーフⅠよりも弱い可能性が示されました。その結果をうけ、モチーフⅡの糖結合能に関与するであろう3か所のアミノ酸に着目し、それら3部位の組み合わせで、計7種の点変異アミノ酸置換を導入した変異PTLを作製しました。さらに、それらPTL変異体の抗ウイルス活性への影響を解析することで、糖結合領域の構造と結合能の関連性を考察しました。そして、最終的にはモチーフⅡの構造をモチーフⅠに近づけることで、より高い抗ウイルス活性をもつ改変PTLを作製することに成功しました。以上、本論文ではX線結晶構造解析により得られた構造情報から、より高い活性を持つ抗ウイルスレクチンを作製できたことが報告されました。

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