• 学科ニュース

学科教員に聞く「生き方・考え方」

2023.06.28

  • 学科紹介

児童教育学科の教員はそれぞれに何を考え、これまでどのように過ごして現在があるのか。その一端を聞かせてもらうことが学生各自のこれからの生き方や進路を考える資料になるのではないか。日ごろの専門科目の授業やチューターとしての交流を超えて、人生の先輩として自分のこれまでやこれからの夢を語ってもらう機会を設けました。

第一弾として、二人の教員に登壇して貰いましたが、いずれも日常では聞けない話、感じ取れない人柄の発見に学生たちは熱心に耳を傾けていました。みんなで「ふるさと」を合唱しながら楽しい講話の一こまになりました。その話の要旨を紹介します。



★講話①小畠由香(子ども家庭福祉)

昭和から平成・令和の時代背景を振り返りつつ、先人たちの努力やいろいろな人との出会いの上に「私」がある。とりわけ、子ども時代に「先生」から受けた影響は大きい。
心理学を学び、前職の児童相談所で子どもの発達や権利擁護、障害がある人の権利擁護にかかわる仕事をしてきて、今は、様々な立場の人の権利が等しく守られ、誰にでも住み心地のよいインクルーシブな社会の実現に力を尽くしたいと考えるようになった。
学生の皆さんには次の時代を創る力があり、さらにその次の世代を育てる職業に就く人が多いことから、「次の時代を創るあなたたちへの3つのメッセージ」をお伝えしたい。

〇自分を大切に ほかの人を大切に
あなたはあなたのままでいい。ジェンダーや役割を期待されることもあるが、「固定概念」にとらわれず、自分を大切に、自己主張をしてみよう。同時に考えの違う相手も尊重し、折り合える点を探すことも大切にしてほしい。

〇生活を楽しむ 仕事を楽しむ
どっちも欲張っていい。ワーク・ライフバランスともいわれるが、自分を大切に、また、生き生きと仕事をするためにもライフ優先に考えてよい。生活を楽しみ、ストレスなどに対処できるコーピングスキルとして、自分の五感を喜ばせるメニューを紹介した。

〇誰にでも住み心地のよい社会を創造する
身近な人とのあいさつやコミュニケーションなどできることから始めて、社会や世界にも視野を向けよう。

jikyo20230628_01.jpg



★講話②長友洋喜(音楽科教育)

私は未熟児として、予定日より50日早く生まれました。小学生のとき、授業参観で「命の授業」がありました。親からの手紙を読んで命の尊さを考える授業で、他の子がもらった手紙はB5の便箋に1枚か2枚。私が母からもらった手紙はB5の便箋で実に21枚でした。私は初めて、母自身の心配と努力、周囲の支え、私の成長の過程を知りました。今でも、変色した21枚は私の机に大切に保管されています。
その手紙に、このような言葉がありました。『あなたを助け、見守った人々へのご恩返しは、誕生した「小さな命」を大事にして、真剣に、精一杯生きることではないでしょうか』私は、多くの人に支えられ、助けてもらった命で、音楽教育を通して、学生のみなさんに大いなる勇気を与えているのだろうか。いつも、自問しています。
みなさん、子どもたちに将来悲しいことがあったときに、それを癒やし、嬉しいことがあったときに、それを増幅させる歌を教えてください。そのためには、みなさんが「先生と一緒に歌ったら楽しそう」という笑顔で子どもたちに歌い聴かせる必要があります。それが「教師の音楽性」です。
そして素直に「好き!」と言える大人になりましょう。人間いつ何があるかわかりません。人は「いつか死ぬ」のではなく「いつでも死にうる」のです。死を自覚し、怖さを想像しない限り、命の大切さを感じることはできません。被爆都市広島で学ぶ皆さんは将来、平和教育に携わることも多いでしょう。生と死を見つめ、想像力を高めてください。
私はみなさんが「好き」です。みなさんは全員、私の教え子ですから。みなさんも将来、多くの教え子を持つでしょう。その全員を「好き」だと言えるようになってください。そう口にするだけで、救われる子がいます。
誰の声にも長所があります。それを見つけるのが音楽教師です。声の短所をあら探ししてはいけません。短所をいじるような雰囲気のクラスにしてはいけません。音がはずれていても、小さい震える声でも、どら声でも......その声を、その人を大切に思い、待っている人がいるからです。その声で安心する教え子がいるからです。みなさんの声は、誰かを幸せにしています。それが誰か今はわからなくても、知らぬうちに誰かが幸せになっているのです。
これからもみなさんが、笑顔で歌い続けてくれることを祈ります。私の話を聴いて頂き、ありがとう。

jikyo20230628_02.jpg



本学科の学生はそれぞれに将来の夢を追いながら日々の学びを続けています。同じように教員もまた、各々の人生設計のもとに明日を見通し、今日を過ごしています。【徳永隆治】