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実習巡回指導について ─ 21世紀の"大石先生"を探しに ─

2022.01.17

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児童教育学科では、学科所属教員が実習期間中に各実習校への巡回指導を行うようになっている。わたしの担当に限れば、6月から12月のおよそ半年の間に10校を超える実習校訪問を行った。中国地方5県が主な訪問先である。西は大竹市、東は世羅町、今年度は広島県の西の端から東の端へのおよそ120kmの訪問である。年度によっては、北は出雲市、南は江田島市となることもある。幼稚園・小学校・保育園・児童養護施設等、実習校も多岐に渡る。

実習生の実習成果の最大化を目的とした巡回指導であるが、長く訪問に携わる中で常に印象に残る点は、"地域"の大切さである。今年もこういう話しを訪問校の所属長から聞いた。"実習生のAさんは小さい頃から家族ぐるみで剣道をなさり、本校の剣道部の部長でした。実習の配属クラスに剣道仲間の保護者がおられ、学校にそのことを連絡してくださいました。実習生をよろしくお願いいたします。"と。まるで保護者同様の支援・応援である。出身地域のありがたさとはこういうことであろう。

そして、ここ数年は"地域"に加え、教師の"未来像"を描くことの大切さを強く感じるようになっている。副題に掲げた私の訪問のサブテーマ「21世紀の"大石先生"を探しに」である。いつの時代もそうであるし、不透明で変化の激しい現代においてはなおさらであるが、若い世代には将来の自分の姿を投映するビジョン(未来像)が必要であるに違いない。いままさに、そしておよそ100年前の混乱そして混迷の時代と同様に、「地域に生きる女性教師の未来像」の構築が強く求められているのではなかろうか。

残念ながらわたしのイマジネーション力では、その姿は幻影ですらない。21世紀の"大石先生(おなご先生)"がふーっと訪問先から現れてこないものだろうか。ちなみに、壺井栄の小説「二十四の瞳」は,「瀬戸内海べりの一寒村」を舞台に、女学校を出て赴任した女性教師と、その年に小学校に入学した12人の子どものふれあいを軸に、日本が第二次世界大戦を突き進んだ歴史のうねりに否応なく飲み込まれていく中での教師と子どもたちの苦難や悲劇を通し、戦争の悲壮さを描いた作品である。20世紀前期、そして終戦、その翌年までの18年間、1928年(昭和3年)から1946年(昭和21年)までが描かれている。それに単純に100を足して21世紀にすると2028年から2046年である。"颯爽と自転車に乗り洋服姿で登校する21世紀の「ハイカラ」先生"がそろそろ現れてきてもよさそうに思うのだが。【橋本 正継】


●二十四の瞳(映画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E3%81%AE%E7%9E%B3_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
(出展:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
●二十四の瞳(小説)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E3%81%AE%E7%9E%B3
(出展:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)


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