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授業紹介「造形表現の基礎」

2025.05.29

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幼児教育学科独自の授業「造形表現の基礎」は、1年生前期に開講される子どもの造形活動を深く理解し、実践力を身につけるための導入科目です。

 

子どもたちは、言葉を発する前からさまざまな素材に触れ、描画用具を使って自由に表現することで、自分の思いや感覚を周囲に伝えようとします。造形活動は、子どもの成長や発達に大きく関わる大切な営みです。そのため、保育者自身が造形表現の意義を理解し、子ども一人ひとりの表現を尊重する姿勢を育むことが欠かせません。

 

しかし、「うまく描けたかどうか」といった表面的な評価にとらわれてしまうと、子どもの学びの本質が見えにくくなることもあります。「造形表現の基礎」では、そうした問題意識のもと、「子どもにとっての造形表現とは何か」を学生一人ひとりが考え、自らの保育観と結びつけていくことを大切にしています。

 

授業では、毎回異なるテーマや技法を取り上げ、実際に制作活動を行います。金子みすゞの詩の一節「みんなちがって、みんないい」に象徴されるように、同じ題材や導入からスタートしても、出来上がる作品はまさに三者三様です。制作に取り組む中で、他者の表現と出会い、異なる視点を知ることも、学生にとって大切な学びとなります。

 

今回の授業は、「コラージュ」です。コラージュとは、紙などの素材を切り取って貼り合わせて表現する技法で、自由な発想と構成力が問われる表現方法です。授業の導入では、エリック・カールの絵本『はらぺこあおむし』を鑑賞しました。この絵本に登場するあおむしや果物などのイラストは、すべて「コラージュ」で描かれています。

 

次に、色紙の代わりにトレーシングペーパーに絵の具で色をつけ、それを用いることで、紙を重ねた部分に透け感や色の変化が生まれるよう工夫しました。久しぶりに絵の具を使う学生も多く、どこか懐かしさを感じながら、童心に返って制作に向き合っていました。制作はグループで進められ、道具の使い方や表現方法を共有し合いながら、お互いに学び合う姿が印象的でした。

 

表現方法は実に多様で、画用紙に下書きをしてからトレーシングペーパーを丁寧に切り取り重ねていく学生もいれば、色紙を手でちぎり、そのちぎり跡のテクスチャーを活かして構成する学生もいました。完成した作品は、どれも個性豊かで魅力にあふれており、まさに「みんなちがって、みんないい」世界が広がっていました。

 

今回の授業作品は、オープンキャンパスなどでもご覧いただけます。子どもの豊かな表現を理解し、引き出すことのできる保育者を目指す学生にとって、本授業はその第一歩となるでしょう。興味のある方は、ぜひオープンキャンパスなどで本学科での学びを体験してみてください。皆さんの参加を心よりお待ちしています。
 

(文責: 柿原岳史)

 

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(絵の具で色紙を作っています)

 

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(カラフルな色紙ができました)

 

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(どのような作品ができるか楽しみです)

 

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(グループで楽しく制作します)

 

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(カラフルで楽しい作品ですね!)

 

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(素敵な作品が完成しました)