安田女子大学教育学部は、本学の建学の精神「柔しく剛く」に基づき、自立した女性の確立を目指し、社会人としての教養と実践的指導力を備えた教員等の養成を目的として、教育学に関する諸学の知識・技能を入学者に広く深く授け、道徳・人間性を培う諸能力を育成します。
本学部幼児教育学科(以下「本学科」という。)では、大学及び学部の目的に沿って、人間形成の基礎が培われる乳児期・幼児期のそれぞれの発達特性に応じた関わり方について理論と実践の往還的な学びにより専門性を高め、子どもたちの豊かな人生を創造し、幼児教育・保育分野の未来をけん引する保育者等の専門的職業人を養成することを目的とします。
その教育的側面の更なる充実を図るために、3つのポリシー「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を以下のとおり定めます。
1 卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
建学の精神「柔しく剛く」に基づく大学及び学部・学科の目的を達成するために、本学科で養成する人材が、卒業時に身に付けておくべき能力・態度の修得を本学科の教育目標とします。以下の6つの能力・態度を身に付け、教育課程に定められた所定の単位を修得した学生に対して卒業を認定し、学士の学位を授与します。
(1)教育目標
- ① 倫理観・使命感
人間形成の基礎が培われる乳児期・幼児期に携わる保育者として、幅広い教養、豊かな人間性、高い倫理観を兼ね備え、幼児教育・保育分野の未来をけん引する保育者としての使命感を醸成します。
- ② 知識・技能・態度
保育者として社会に貢献するために必要な教育学、幼児教育学、保育学、心理学(教育心理・発達心理)及び関連諸学に関する十分な知識・技能を身に付けるとともに、乳児期・幼児期のそれぞれの発達特性に応じた子どもが持つ能力を引き出すことができる適正な関わり方(態度)を身に付けます。
- ③ 思考力・判断力・表現力
保育者としての教養と専門的な知識・技能・態度を持って、自ら課題を発見し課題の解決に取組み、その成果を表現することができる思考力・判断力・表現力を身に付けます。
- ④ 自律性の確立
主体的・批判的精神を持って自己を律し、自ら目標を設定し達成のための計画を立て実行することができる力を身に付けます。併せて、生涯を通じて保育者及び社会人として成長し続ける資質・能力を修得します。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力
他者と積極的に意思疎通を図り、他者の意見を聴き自己の意見を正確に伝えるコミュニケーション能力を身 に付け、様々な立場の人々と連携・協働できる力を身に付けます。
- ⑥ 多様性の受容と理解
多様化・複雑化する現代社会において、文化の多様性や自分とは異なる価値観や視点を受容・理解し、多角的な視点・立場における思考や人を思いやる柔軟な態度を身に付けます。
2 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
本学科で学ぶ学生一人ひとりが学修を円滑に開始し、学士課程を通して広く深い学識を身に付け、あわせて保育者として豊かな人間性と高い倫理観、そして幅広い教養の上に、教育学・保育学の専門性及び実践的指導力を身に付けて、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を達成し、保育者として主体的に行動できる人材となることができるように教育課程を編成・実施します。
(1)教育内容
本学科の教育課程は、「特別科目」「共通教育科目」「専門教育科目」を体系的に編成し、文部科学省による「教職課程コアカリキュラム」及び児童福祉法施行規則に規定される保育士養成課程の修業教科目を基本に、本学科独自の講義科目や演習・実習科目を加え、教養教育・専門教育の2者が有機的に組み合わされた4年制教育課程を編成します。すべての授業科目に一般目標(GIO:General Instructional Objective)と到達目標(SBO:Specific Behavioral Objective)を定め、これらの目標の達成によって、卒業の認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を実現します。
「特別科目」は、建学の精神「柔しく剛く」に基づき、「まほろば教育ゼミ」を入学時より4年間開講します。「安田を知る」「学びを知る」「自分を知る」「社会を知る」ことを活動の軸に倫理性を培い、総合的な判断力と豊かな自己表現力の獲得を目指して、教員と学生が協働して運営します。
「共通教育科目」は、「キャリア科目」「教養科目」「基礎科目」で構成します。各学部・学科の垣根を越えたクラス編成によって、分野の異なる学生とともに多様な授業科目を学ぶことができます。
「専門教育科目」は、「基本科目・卒業研究」「領域科目」「幼児教育発展科目」及び「教育実習・保育実習」で構成し、保育者養成を軸に編成します。具体的には、幼児教育学、保育学、心理学(教育心理・発達心理)及び関連諸学を体系的に展開します。教育課程は、保育者養成を単に関連法令に定められた授業科目に限ることなく、必要な資質を幅広い観点から総合的に捉えている本学科の理念・目的に基づいて編成します。また、専門的力量形成のために保育者に特化したキャリア科目を開設し、4年間で体系的・継続的に保育者としてのキャリア形成を図ることができます。その他に、教育の視野を広げること及び英語能力の向上を目指し、カナダ・ヴィクトリア大学と協定し短期留学制度を設けます。また、広島市教育委員会と学校等との協定に基づき、学校等の教育活動の支援を行うことを通して実践的に学ぶ「学校等支援活動」も行います。
本学科における主要な教育内容は、次の6つにまとめられます。
- ① 倫理観・使命感の育成
幅広い教養や豊かな人間性を養う科目を「特別科目」及び「共通教育科目」に配置するとともに、自身の保育者としての将来ビジョンが描ける科目及び幼児教育・保育分野の未来をけん引する保育者としての倫理観や使命感を醸成する科目を「専門教育科目」の「基本科目・卒業研究」を中心に配置します。
- ② 知識・技能・態度の育成
教育学、幼児教育学、保育学、心理学(教育心理・発達心理)及び関連諸学を「専門教育科目」に体系的に配置するとともに、段階的・系統的に幼児教育・保育に関する基礎的な知識・技能・態度を身に付けることができる科目を「専門教育科目」に配置します。また、乳児期・幼児期のそれぞれの発達特性に応じた子どもが持つ能力を引き出すことができる適正な関わり方(態度)を身に付けることができる科目を「専門教育科目」に演習科目として配置します。
- ③ 思考力・判断力・表現力の育成
幼児教育・保育に関する基礎的な知識・技能・態度をもとに、思考力・判断力を磨く科目を「専門教育科目」の領域科目に配置します。また、幼児教育を取巻く現代的諸課題について学び解決策を思考する科目を「専門教育科目」の「幼児教育発展科目」として「赤ちゃん科学」「幼児教育実践科目」「サポートマネジメント」「ウェルビーイング」に区分し配置します。加えて、成果を的確に伝えることのできる表現力を身に付けるための科目を「専門教育科目」の演習科目・卒業研究を中心に配置します。
- ④ 自律性の育成
変動する社会の変化に対応し続けるために自律性をもって自己研鑽し続ける力、自ら目標を設定し達成のための計画立案及び実行できる力を身に付けるための科目を「専門教育科目」の演習科目・卒業研究を中心に配置します。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力の育成
他者と積極的に意思疎通を図ることで、様々な立場の人と連携・協働できる力を身に付けるため、「専門教育科目」にディスカッション、グループワーク、プレゼンテーションを取り入れた演習科目及び実習科目並びに卒業研究を配置する。
- ⑥ 多様性を受容して理解する能力の育成
多様化・複雑化する現代社会を生きるうえで、価値観や視点の異なる他者を受容・理解し、多角的な視点・立場における思考や人を思いやる柔軟な態度を身に付ける科目を「特別科目」や「専門教育科目」の演習科目及び実習科目に配置します。
(2)教育方法
- ① 多様な授業形態
社会で活躍する実践力を身に付けた保育者を養成するために、講義で修得した知識を演習・実習を通じてより確かなものとするよう理論と実践の往還的な学びを展開します。授業形態は、一斉授業による講義形式のみならず、授業科目の特性に応じて少人数によるグループ学修を取り入れます。実技を伴う授業科目は、スタジオ、パフォーマンスコモンズ、音楽実習室、ミュージックラボ、調理実習室等の特別教室や体育館等を利用し、実践的な授業を展開します。
- ② シラバスによる授業の目標・内容・方法・評価方法等の明確化
授業は、目標・内容・方法・評価方法等を具体的に記載したシラバスに沿って実施します。シラバスの内容や評価基準及び評価方法等は組織的に確認し、教員間や教員と学生間で共有します。
- ③ 教育課程体系の明確化
教育課程の体系を明確化・可視化して共有するため、科目ナンバリング及びカリキュラム・マップにより学修成果の達成にどの授業科目が寄与するかを示し、カリキュラム・ツリーにより学修成果の達成に向けてどのような授業科目が関連し年次配当されているかを示します。
- ④ 自主的・能動的学修(アクティブ・ラーニング)の推進
授業内外で学生と教員、教員間や教職員間の対話を促進する取り組みを進め、学生・教員・職員が協働して学生の意見・状況等を反映した自主的・能動的学修の推進を図ります。アクティブ・ラーニング、課題解決型学修(PBL:Project-Based Learning)を取り入れ、他者との協働によって課題の解決に取り組んだり、発表したりする機会を設けます。模擬保育を行った後、その授業についての協議を行う等により実践的な指導力の育成を図ります。また、学生全員がコンピュータを持つことで、授業内外で積極的に活用することにより、高度なICTスキルを養います。
- ⑤ 体験型学修の推進(視野の拡大・経験の拡充)
将来、社会人や保育者として広範な視野と多角的な視点を備えるべく「特別科目」「共通教育科目」で多様な授業を開講するのみでなく、可能な限り他学科で開設されている「専門教育科目」の受講を可能にします。また、学生自らが求める専門性を学術的にも実践的にも高め、多様な地域社会、国際社会で主体的に活躍できるようにするため、学内外での実習、演習、ボランティア活動、インターンシップ、プロジェクトワーク、フィールドワーク、海外留学等のプログラムを編成します。
- ⑥ CAP制度
授業外の学修時間を確保し、単位制度の実質化を図るため、履修登録ができる単位数の上限を定めるCAP(キャップ)制度を設けます。
- ⑦ チューター制度
各クラスにチューター(担任)を配置し、学生の学修面から生活面全般まで、一人ひとりに合わせたサポートを行います。また、教員は全員オフィスアワー(OH)を少なくとも週2時間設け、これを周知します。
- ⑧ 教育の質の確保
高い教育の質を保証するため、教員に対し教育者としての行動を律する「学生との良好な関係を築くための教職員行動指針」及び「教育に関するガイドライン」を定めるとともに、教員の教育資質を高める研修、学生による授業評価アンケート、授業公開・参観、教員自身による教育活動に関する自己点検・評価を実施します。
(3)学修成果の評価
- ①成績評価
本学及び本学科の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げた知識・技術・態度の達成度を評価します。各授業科目の担当教員は、あらかじめシラバスに明示された成績評価方法によって、学修成果の評価を客観的かつ公正に行います。
「卒業研究」は、卒業研究を実際に指導した教員が授業科目ごとに評価を実施します。また、「卒業研究」の成果をまとめた発表については、学科の複数の教員が審査した後、全員で審議して最終評価を行います。
- ② GPA制度の採用
学生の成績を客観的・相対的に把握するためにGPA(Grade Point Average)制度を採用します。この制度は、CAP制度や学外実習・科目履修における評価基準として活用します。教育実習参加要件にGPAを導入することにより、学生自身の履修の目安になるとともに学修意欲の向上にも貢献します。
3 入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)
多様な入学試験制度を設け、全学共通の「建学の精神」に加え、学科独自の「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に沿った教育を受けることができる者として次に掲げる入学者を広く受け入れます。
(1)求める入学者
本学及び本学科で求める能力・適性を有する人材を養成するために、次のような人を求めます。
- ① 幼児教育・保育に携わることに熱意と志を持っている人
- ② 教育・保育及び子どもの発育・発達についての関心と探究的態度を有する人
- ③ 協調性に富み、明るく積極的に物事に取り組もうとする人
- ④ 専門科目の学修に必要な基礎学力を有し、学び続ける意欲と向上心の強い人
(2)入学者に求める能力
- ① 高等学校卒業程度の十分な基礎学力と、本学の教育を受けるに必要な基礎学力
- ② 読解、表現、コミュニケーションに必要とされる基礎学力
- ③ 社会で活躍するために必要な知識・技能・態度を入学後の学修を通して修得できることに加え、自ら課題の発見と解決に取り組むことのできる思考力・判断力・表現力
- ④ 多様な人々と協力して学び合うために必要な主体性・協調性・知的好奇心・旺盛な学修意欲
(3)入学試験制度
本学科で学ぶために必要な知識・技能・思考力・判断力・表現力及び意欲・適性を見るために、以下の入学試験を公正に実施します。
<入学試験の種類>
- ① 自己表現型選抜
- ② 総合型選抜(専願)
- ③ 総合型選抜(併願)
- ④ 学校推薦型選抜(指定校)
- ⑤ 一般選抜(前期A日程、前期B日程、前期C日程)
- ⑥ 一般選抜(後期日程)
- ⑦ 大学入学共通テスト利用選抜[前期日程]
- ⑧ 大学入学共通テスト利用選抜[後期日程]
- ⑨ 一般選抜+共通テスト利用選抜(高得点合算型)
- ⑩ 専門高校特別選抜
- ⑪ 社会人特別選抜