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日本語教育実習:「日本語を教える」

2024.02.09

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英語英米文学科では、所定の科目の単位を取ることで、日本語教員資格を取得することができます。その中に「日本語教育実習」があります。学生達は、日本語教授を実施している外部団体の活動にボランティアとして参加をさせてもらいます。そこでは、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、パキスタン、インド、モンゴル、ネパール、ルーマニア、エストニア、ナイジェリア、イラン、メキシコ、米国、と様々な国の方の日本語学習に関わらせていただきました。今回、この実習を終えた4年生3人が感想を寄せてくれました。この3人はそれぞれ違う団体に参加させていただきました。

 


 

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𠮷和麗美那さん:

新型コロナウイルスの状況のために、私はオンライン授業を実施させていただきました。画面越しでは学習者の方の表情を読み取ることが難しく、どこまで理解されているのか明確ではなく、対面授業とは違う難しさを感じました。中国人学生の3人は学習のレベルが異なっており、なかには日本語を話すことがほとんどできず、多くの活動に溶け込めていない人もいました。そうした中、私は言葉で伝えるだけでなく紙に書いて画面に表示したり、英語や中国語に置き換えて話したりなど工夫をしてみました。笑顔で前向きに授業に取り組めていたように思います。この経験から、相手の状況に寄り添う大切さを学びました。
また、異文化交流を通して他国の魅力を学ぶこともできました。中国の方とはお互いの文化について話す機会が多くあり、多くのことを学びながら日本の魅力についても伝えることができたと思います。本当に良い経験をさせていただき感謝しています。

 


 

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岸本真佳さん:

私が参加させていただいた日本語教室には、日本語を習得したいという思いが強く、積極的に日本語を学ぼうとする姿勢を持った方がたくさんいらっしゃいました。この活動に参加をさせていただき、相手の立場に立って教えることの難しさと、自分が誰かに何かを教える時に大切な姿勢を教わったように思います。
私にとって、言葉の通じない相手の立場を考えながら日本語を教えるということは、想像していたよりもずっと難しいことでした。私たち日本人が意識せずに使っている言葉に対して疑問を抱く学習者と接し、自分が理解していることについて、他者にとって同様に理解できるとは限らないということを、身をもって感じた経験となりました。日本語教室に参加させていただくたびに、自分の基準で考えるのではなく、相手の状況をよく観察し、分からない箇所の予測を立て、工夫した教え方を心掛けるなど、より学習者に寄り添った関わりができるようになったのではないかと思います。また、関わる相手の状況や心に歩みよるというこの経験が学習者との距離を近づけるきっかけになることも教えてもらえたと思います。教えた際に、知識が一つ増えたと喜ぶ方や、日本語は面白いと語ってくださる方とたくさん関わることができ、私自身とてもやりがいを感じましたし、言語が繋ぐ人と人との関りはとても温かく、素晴らしいなと感じました。
今春から、私は広島市の中学校で、英語の先生として勤務させていただく予定です。言語を教えるという点では、この活動と共通しているものが沢山あると思うので、この経験を糧に、学習者のことを誰よりも理解できる教員になれるように頑張ります。非常に貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。

 


 

K.A.さん:

私がお世話になった日本語教室では個別で教えることが多く、教室を主宰される方から担当を振り分けていただく形であったため、毎回担当する生徒が異なっていました。生徒の方が教室に参加する理由も多様であり、異なる学習状況で日本語を学習する方もいます。その中で日本語の複雑さやニュアンスの違いを指導することにとても苦労しました。大体は英語を使って指導させていただくのですが、英語以外を話される方もいれば、ちょうど適切な英語表現が見つからないときがありました。そういった時にはジェスチャーやイラスト、またはその方が話される言語に翻訳して、日本語から感じる意味の違いを理解してもらえるよう努めました。
指導している中で生徒の方のお話を聞いて思いつき、日本で生活するにあたって便利な表現を教えたところ喜ばれたということもありました。「また担当してほしいから次はいつ来ますか」と聞かれたりしたこともあります。そうした時にはとても嬉しい思いをしました。相手に喜ばれることで自分の自信にもなり、より指導する楽しさを感じました。
また実習を通して、母語話者である自分にとっても新たな日本語の発見が多くあり、同じように言語を学習する者としてとても貴重な経験になったと思います。