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【授業紹介】英米小説講読II(3・4年生)

2023.01.24

  • 学びの特徴

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(授業で使用するテキスト。Sudden Fictionは超短編小説だけを集めた本です)

授業担当者:島 克也

英語英米文学科の3年生と4年生が受講する「英米小説講読Ⅱ」は、アメリカで出版された小説を原書で読む授業です。15回の授業のうち、前半(9~11月)は1~5ページで完結する超短編小説を読み、後半(11~1月)はトルーマン・カポーティの "A Christmas Memory" という短編小説を読みます。

学生達は、指定された範囲の翻訳を毎週提出し、担当者が作成した翻訳について「この部分の日本語の選択がうまいと思った」「この部分は間違っていると思う」「この部分がよくわからなかった」など、さまざまな意見を出しながら、クラスで協力してよりよい翻訳を作成します。

この授業では、英語で書かれた小説を読むだけではなく、その文化的・社会的背景も学びます。 "A Christmas Memory" は1930年代のアメリカ南部が舞台ですので、私達が知らない事物がたくさん登場します。たとえば、主人公が朝食に "biscuit" を食べるシーンがあるのですが、朝ごはんにビスケットを食べるということは、日本で生まれ育った私達にはしっくりきません。そこで "biscuit" について調べると、アメリカ南部では、柔らかいパンのようなビスケットがよく食べられるそうです。このように、Googleのイメージ検索とYouTubeを駆使して、小説中に登場する名詞がどういうものなのか、根気よく調べます。

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(授業中に用いるスライドです。左側がソフトタイプのビスケット、右側がハードタイプのビスケット)

この小説には "moss drifts through the branches like gray mist" (まるで灰色の霧のように苔が枝の間を漂う)という風景描写も登場します。しかし「苔が漂う」とか「灰色の霧のよう」という描写はいまいちピンときません。そこでmossについて調べると、アメリカ南部には、Spanish mossと呼ばれる、樹木に生える植物があることがわかりました。下の写真はSpanish mossが群生している様子を撮影したもので、まさに "gray mist" のようです。

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さらには、 クリスマスのごちそうとして "fried squirrel" (揚げたリス)がテーブルに並べられます。日本で生まれ育った私達は、リスを揚げ物にして食べると聞くとびっくりしてしまいますが、Googleのイメージ検索はそのような食習慣があることを教えてくれます。

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そして、クリスマス直前の授業では、この小説に登場する食べ物・飲み物であるフルーツケーキ(に近いもの)と、チコリコーヒーをみんなで味わいました。チコリコーヒーは、野菜のチコリの根の部分を焙煎して作る飲料で、色も味もコーヒーに似ています。初めて味わった学生は、「焼き芋みたいな香りがする」と感想を述べていました。

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"A Christmas Memory" は、アメリカを代表するクリスマスストーリーの傑作です。アメリカの方々と交流した時に「カポーティの "A Christmas Memory" を原書で読みました」と言えば、きっと会話も弾むはずです。外国語を使えるだけではなく、その国の文化・歴史に関する知識を持っていることは、外国の方々とのコミュニケーションにおいて最も大事なことです。みなさんも、安田女子大学の英語英米文学科に入学し、歴史や文化を学びながら、英語を使う人生を満喫してください。