

鈴はどこへ? 古瀬雅義
2016.11.09
大学の授業で「文学理論」を担当している。現代を生き抜くため、ものの考え方と伝え方をきちんと学び、あふれる情報を整理してコミュニケーション力を伸ばす授業である。現代は人気あるもの同士をミックスして新しいモノを創り上げる「コラボ」がはやりだ。しかし、学生からドラえもんとキティちゃんのコラボグッズを見せてもらって驚いた。ドラえもんの首にあるはずの鈴が、赤いリボンになっていたからである!この鈴は故障中ながら、実は「無用の用」。これがなくなるとドラ猫になってしまうはずなのだが。赤いリボンの蝶ネクタイに替えてしまうとは、恐るべし、キティ・ホワイト!しかし、元の意味が見失われては、デザインは一過性のモノにしかならない。アレンジするには「キモ」が必要だ。さっそく授業で「教材」にしました。
(安田女子大学日本文学会『会報』25号掲載のものを改稿)