

宮岸教授の新著『ゾゾ語(若柔語)文法』を紹介します
2022.08.04
宮岸哲也教授が『ゾゾ語(若柔語)文法』(安田女子大学言語文化研究叢書22)を上梓されました。「ゾゾ」とは中国雲南省北西部(ミャンマーとの国境付近)の3000人ほどの少数民族です。書名に「文法」とのみありますが、ゾゾの地理・風習、音韻や文法、民間伝承物語、辞書的な語彙索引などを掲載し、この一冊でゾゾ語の全容を格納しています。
たとえば動詞は、格の数、動詞の意志性、判断・移動・所在などの意味分類などによって記述しています。ゾゾ語は全て国際音声記号と声調値で表記され、略号によって文法的機能・意味を示し、対訳日本語が付されていて、完全再現できます。素晴らしいです。
古代日本語は単音節開音節を基本とするという通説に対し、早田輝洋(元言語学会会長)はロロ語を例に挙げて疑問を呈しています(『国語学』178)。ゾゾ語はロロ語の系統ゆえに、本書が記述するゾゾ語が古代日本語を考えるうえでも大いに参考になる可能性もあるのです。広く江湖にすすめたい書です。
(2022年7月 本学教授 江口泰生・文責)