

教育実践交流会を開催しました
2019.11.18
11月16日(土)、本学にて、第7回の安田女子大学日本文学科国語教育実践交流会を開催しました。
この会は、日本文学科・書道学科の卒業生で現在学校で教鞭をとっておられるみなさんと在学生とが交流するものです。今回は、10名もの参加者を得て、活発な意見交換が行われました。
(卒業生 3名、学部生 4名、本学教員 2名、一般参加 1名)
◇内容
(1) | 参加者の自己紹介・近況報告 |
(2) | 「初恋」(島崎藤村)の授業報告(藤得有希) |
広島市立瀬野川東中学校・藤得有希先生(2015卒)「詩「初恋」島崎藤村」 | |
前回の交流会での意見交換を踏まえ、10月末頃に実践された授業(3時間)の報告です。 | |
1時間目、「皆の恋事情」という題で、今回のテーマに対する関心を持たせた上で、「初恋」を読み、内容を理解します。 | |
2時間目は、「われ」の「君」に対する「恋心が最も高まった連」について「説明しよう」という課題です。五感を生かして詩の言葉一つ一つを読みとり整理したことを、クラス内で交流(「初恋散歩」)します。その際に、自分と同じ連を挙げた人2人以上、違う連を挙げた人2人以上と意見交換するというのが条件です。3時間目、「初恋」を別の視点から物語に、また俳句や短歌に書き換えます。わずか20分ほどで、とても楽しい文章を書き上げることができました。 |
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(3) | 「少年の日の思い出」の教材分析と授業構想(田中 宏幸) |
「少年の日の思い出」は五社の中学校教科書すべてに採録されている教材ですが、「半額縁構造」の捉えにくさ、「用語」の難しさ、「チョウ集め」に対するなじみの薄さなどが要因となって、作品に入り込めない生徒が少なくありません。また、後半部(「客」の回想)がすべて「僕」目線で書かれているため、エーミールとの関係を正確に読み取れなくなったり、結末部の「チョウを粉々に潰した理由」をどう説明してよいのか分からなくなったりします。しかし、中学生にとっては「忘れられない教材」として高く評価されており、授業者が様々な工夫をすることで、文学を深く味わい、ものの見方や考え方を鋭くすることにつながる教材であることは間違いありません。 | |
そこで、今回は、①【資料A】五社の教科書の「学習のてびき」を比較検討し、共通点と相違点を確かめました。続いて、②【資料B】柳瀬真子氏の「書くことと関連させた指導」事例、③【資料C】笠井正信氏の「話し合いに重点をおいた指導」事例を検討しました。また、教材観を深めるために、④【資料D】綾目広治氏の論考(『文学の力×教材の力・中学校編1年』)を読み合いました。これらを参考に、「チョウを潰した夜に、「僕」が見た夢を書いてみよう」とか「母の手記を書いてみよう」といった「続き物語」の課題、ヘッセの表現をまねて書いてみる課題、視点を変えてエーミールの側から見た「僕」を描いてみる課題など、読み深めを促す表現課題を設定してみたいものです。 | |
最後に、【資料E】香川県教育委員会『さぬきの授業 基礎・基本(改訂版)』を参考に、「発問・助言」の在り方について学び合いました。日常の授業改善のヒントが具体的に示された冊子です。初任者のみならず中堅教員にも役立つ資料だと思います。 |
次回は、2020年2月29日(土)15:00~(本学)を予定しています。