安田女子大学理工学部は、本学の建学の精神「柔しく剛く」に基づき、真理の探究に努め、自然の道理を探究する「理学的視点」と、その知識をもとに独創的に応用する「工学的視点」を身に付け、現代社会が抱える複雑な課題に自ら対応策を模索する人材を養成することを目的として、理学及び工学に関する諸学の知識を入学者に広く深く授け、知的・道徳的・応用的能力を育成します。
本学部生物科学科(以下「本学科」という。)では、大学及び学部の目的に沿って、植物を中心に、分子・細胞から生態系に至る幅広い階層で生物の進化や多様性の本質を学び、「食」「資源」「環境」に関わる諸問題を解決し、持続可能な社会構築に寄与する使命感を持った人材を養成することを目的とします。
その教育的側面の更なる充実を図るために、3つのポリシー「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」を以下のとおり定めます。
1 卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
建学の精神「柔しく剛く」に基づく大学及び学部・学科の目的を達成するために、本学科で養成する人材が、卒業時に身に付けておくべき能力・態度の修得を本学科の教育目標とします。以下の6つの能力・態度を身に付け、教育課程に定められた所定の単位を修得した学生に対して卒業を認定し、学士の学位を授与します。
(1)教育目標
- ① 倫理観・使命感
幅広い教養、豊かな人間性を兼ね備え、生命尊重の倫理観、環境保全や生物多様性の保護に対する責任感を持ち、持続可能な社会の発展に的確に対応できる能力を身に付けます。
- ② 知識・技能・態度
生化学、分子生物学を中心とした生物学の基礎知識、科学的研究で必要とされる実験手法や分析技術の基本を身に付けます。さらに「食」「資源」「環境」に関わる課題における生物科学の役割や基本的な知識を理解しており、課題の解決、新たな価値の創造に意欲的に取り組むための態度を身に付けます。
- ③ 思考力・判断力・表現力
卒業までに修得した知識・技能・態度を駆使し、「食」「資源」「環境」に関する科学的データや情報を調査収集し、それらを的確に解釈・分析することで、課題解決や新たな価値の創造に向けて論理的に思考・判断する力を獲得します。また、その成果を第三者に向けて発信する表現力を身に付けます。
- ④ 自律性の確立
主体的・批判的精神を持って自己を律し、自ら目標を設定し、達成のための計画を立て、実行することができる力を身に付けます。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力
他者と積極的に意思疎通を図り、他者の意見を聴き自己の意見を正確に伝えるコミュニケーション能力を身に付け、様々な立場の人々と連携・協働できる力を身に付けます。
- ⑥ 多様性の受容と理解
多様化・複雑化する現代社会において、文化の多様性や自分とは異なる価値観や視点を受容・理解し、多角的な視点・立場における思考や人を思いやる柔軟な態度を身に付けます。
2 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
本学科で学ぶ学生一人ひとりが学修を円滑に開始し、学士課程を通して広く深い学識を身に付け、「食」「資源」「環境」に関わる諸問題を解決し、持続可能な社会構築に寄与できる能力を身に付けて、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を達成し、社会の中で主体的に行動できる人材になることができるように教育課程を編成・実施します。
(1)教育内容
本学科の教育課程は、「特別科目」「共通教育科目」「専門教育科目」を体系的に編成し、理論だけでなく実験・実習科目を通じて生物生命に関するメカニズムへの理解を段階的に深め、生物科学の専門家にふさわしい知識・応用能力・創造力に関する十分な知識・技能を育成するために、食、資源、環境等に関する講義科目、演習科目、実験実習科目を有機的に組み合わせた4年制教育課程を編成します。すべての授業科目に一般目標(GIO:General Instructional Objective)と到達目標(SBO:Specific Behavioral Objective)を定め、これらの目標の達成によって、卒業の認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を実現します。 「特別科目」は、建学の精神「柔しく剛く」に基づき「まほろば教育ゼミ」を入学時より4年間開講します。 「安田を知る」「学びを知る」「自分を知る」「社会を知る」ことを活動の軸に倫理性を培い、総合的な判断力と豊かな自己表現力の獲得を目指して、教員と学生が協働して運営します。「共通教育科目」は、「キャリア科目」「教養科目」「基礎科目」で構成します。各学部・学科の垣根を越えたクラス編成によって、分野の異なる学生とともに多様な授業科目を学ぶことができます。 「専門教育科目」は、「理工学部共通科目」「基礎科目」「実験実習科目」「基幹科目」「展開科目」及び「専門演習・卒業研究」で編成し、「展開科目」を「理論追及」と「実践展開」に分類します。「理工学部共通科目」では、理学と工学から生まれる科学技術がどのように自然と社会の共生や持続可能な社会の発展に寄与するかを学びます。「基礎科目」では、本学科の学びの基盤となる生化学や分子生物学を中心とした生物学及び化学の基礎知識を学び、専門科目の学修に必要な礎を築きます。「実験実習科目」では、科学的研究で必要とされる実験手法や分析技術の基本を身に付け、「基幹科目」では、「基礎科目」で修得した基礎知識をもとに、より深い生命現象の知識及びそれに関連する応用分野に繋がる知識を身に付けます。「展開科目」の「理論追及」は、生物学の基本原理を理解し、根源を探究するうえで必要な知識の高度化を図るとともに知識の運用方法、仮説検証手法を考察する力を高めます。「展開科目」の「実践展開」では、生物学の知識を社会で応用するうえで必要な知識・知見を学び、理解を深めます。「専門演習・卒業研究」では、食、資源、環境に関する課題解決に向けて論理的に思考・判断するとともに、自ら目標を設定し達成のための計画立案力及び実行力を身に付けます。 本学科における主要な教育内容は、次の6つにまとめられます。
- ① 倫理観・使命感の育成
幅広い教養や豊かな人間性を養う科目を「特別科目」及び「共通教育科目」に配置するとともに、理学と工学の関係性と社会での有用性を学ぶ科目を「専門教育科目」の「理工学部共通科目」に配置し、生命倫理、生物多様性の維持・持続可能性について学ぶ科目、生物科学の学びと実践の関連性を認識しキャリア形成及び専門的職業人としての使命感を醸成する科目を「専門教育科目」の「基礎科目」を中心に配置します。
- ② 知識・技能・態度の育成
理工学の基本的概念や理工系人材に共通して求められるデータサイエンス・AI に関する基礎知識を学ぶ科目を「専門教育科目」の「理工学部共通科目」に配置します。また、生化学、分子生物学を中心とした生物学の基礎知識を修得するための科目を「専門教育科目」の「基礎科目」を中心に配置するとともに、科学的研究で必要とされる実験手法や分析技術の基本を身に付けるための科目を「専門教育科目」の「実験実習科目」に配置します。さらに、「食」「資源」「環境」に関わる諸課題における生物科学の役割や基本的な知識を理解し、課題の解決、新たな価値の創造に意欲的に取り組む態度を身に付けるための科目を「専門教育科目」の主要授業科目を中心に配置します。
- ③ 思考力・判断力・表現力の育成
「食」「資源」「環境」に関する科学的データや情報を調査収集し、それらを的確に解釈・分析することで、課題解決や新たな価値の創造に向けて論理的に思考・判断するための科目を「専門教育科目」の主要授業科目を中心に配置します。加えて、成果を的確に伝えることのできる表現力を身に付けるための科目を「専門教育科目」の「専門演習・卒業研究」を中心に配置します。
- ④ 自律性の育成
変動する社会の変化に対応し続けるために自律性をもって自己研鑽し続ける力、自ら目標を設定し達成のための計画立案及び実行できる力を身に付けるための科目を「専門教育科目」の「専門演習・卒業研究」を中心に配置します。
- ⑤ 社会性・コミュニケーション能力の育成
他者を尊重し積極的に意思疎通を図ることで、様々な立場の人々と連携・協働できる力を身に付けるため、「専門教育科目」にディスカッション、グループワーク、プレゼンテーションを計画した科目及び「専門演習・卒業研究」を配置します。
- ⑥ 多様性を受容して理解する能力の育成
特別科目や専門教育科目においてディスカッションを計画する科目など、多様化・複雑化する現代社会を生きるうえで、価値観や視点の異なる他者を受容・理解し、多角的な視点・立場における思考や人を思いやる柔軟な態度を身に付けるための科目を配置します。
(2)教育方法
- ① 多様な授業形態
本学科では3年次から、「生物科学コース」「食・環境開発コース」のいずれかを選択し、2年次までに学んだ基礎知識・技能をもとに、専門知識の積み上げを図るとともに応用事例の学修を通し、それら知識の運用・検証方法や結果の考察から課題探究の方法、自分なりの視点を身に付けます。
- ② シラバスによる授業の目標・内容・方法・評価方法等の明確化
授業は、目標・内容・方法・評価方法等を具体的に記載したシラバスに沿って実施します。シラバスの内容や評価基準及び評価方法等は組織的に確認し、教員間や教員と学生間で共有します。
- ③ 教育課程体系の明確化
教育課程の体系を明確化・可視化して共有するため、科目ナンバリング及びカリキュラム・マップにより学修成果の達成にどの授業科目が寄与するかを示し、カリキュラム・ツリーにより学修成果の達成に向けてどのような授業科目が関連し年次配当されているかを示します。これらのことから、学期と年次の進行ごとの学修の進展、授業科目間の相互関係を容易に把握することができます。
- ④ 自主的・能動的学修(アクティブ・ラーニング)の推進
論理的思考力、課題発見・解決能力及びコミュニケーション能力を育成するため、アクティブ・ラーニングを実施します。具体的には、課題解決型学修(PBL:Project-Based Learning)や少人数での討論を取り入れた少人数教育科目や統合教育科目を開講します。また、学生全員がコンピュータを持つことで、授業内外で積極的に活用することにより、高度なICTスキルを養います。
- ⑤ 体験型学修の推進(視野の拡大・経験の拡充)
自立した社会人に求められる広範な視野や視点を身に付けることを目的として、キャリア科目(共通教育科目)、演習・実習科目(専門教育科目)の中に、実社会・地域社会の多様な人々との協創を主体的に体験できる学修機会を設けます。
- ⑥ CAP制度
授業外の学修時間を確保し、単位制度の実質化を図るため、履修登録ができる単位数の上限を定めるCAP(キャップ)制度を設けます。
- ⑦ チューター制度
各クラスにチューター(担任)を配置し、学生の学修面から生活面全般まで、一人ひとりに合わせたサポートを行います。また、教員は全員オフィスアワー(OH)を少なくとも週2時間設け、これを周知します。
- ⑧ 教育の質の確保
高い教育の質を保証するため、教員に対し教育者としての行動を律する「学生との良好な関係を築くための教職員行動指針」及び「教育に関するガイドライン」を定めるとともに、教員の教育資質を高める研修、学生による授業評価アンケート、授業公開・参観、教員自身による教育活動に関する自己点検・評価を実施します。
(3)学修成果の評価
- ①成績評価
本学及び本学科の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げた知識・技術・態度の達成度を評価します。各授業科目の担当教員は、あらかじめシラバスに明示された成績評価方法によって、学修成果の評価を客観的かつ公正に行います。
「卒業研究」は、卒業研究を実際に指導した教員が授業科目ごとに評価を実施します。また、「卒業研究」の成果をまとめた発表については、学科の複数の教員が審査した後、全員で審議して最終評価を行います。
- ② GPA制度の採用
学生の成績を客観的・相対的に把握するためにGPA(Grade Point Average)制度を採用します。チューターは、GPAを使い、CAP制度(履修登録単位数の上限設定制度)の基での履修指導のほか、担当クラスに属する学生への学修指導も行います。
3 入学者受入の方針(アドミッション・ポリシー)
多様な入学試験制度を設け、全学共通の「建学の精神」に加え、学科独自の「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」と「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」に沿った教育を受けることができる者として次に掲げる入学者を広く受け入れます。
(1)求める入学者
本学及び本学科で求める能力・適性を有する人材を養成するために、次のような人を求めます。
- ① 植物・微生物・動物等の地球上の生命体に対する好奇心と探究心を持っている人
- ② 自然と社会の共生・科学と技術の調和に関心があり、専門知識や技量を高めようという意志のある人
- ③ 目標に向けて主体的に学び続ける意欲と向上心の強い人
- ④ 持続可能な社会の発展に貢献したいと考えている人
(2)入学者に求める能力
- ① 高等学校卒業程度の十分な基礎学力と、本学の教育を受けるに必要な基礎学力
- ② 社会的な問題についての関心及び科学的な思考力
- ③ 読解、表現、コミュニケーションに必要とされる基礎学力
- ④ 社会で活躍するために必要な知識・技能・態度を入学後の学修を通して修得できることに加え、自ら課題の発見と解決に取り組むことのできる思考力・判断力・表現力
- ⑤ 多様な人々と協力して学び合うために必要な主体性・協調性・知的好奇心・旺盛な学修意欲
(3)入学試験制度
本学科で学ぶために必要な知識・技能・思考力・判断力・表現力及び意欲・適性を見るために、以下の入学試験を公正に実施します。
<入学試験の種類>
- ① 自己表現型選抜
- ② 総合型選抜(専願)
- ③ 総合型選抜(併願)
- ④ 学校推薦型選抜(指定校)
- ⑤ 一般選抜(前期A日程、前期B日程、前期C日程)
- ⑥ 一般選抜(後期日程)
- ⑦ 大学入学共通テスト利用選抜[前期日程]
- ⑧ 大学入学共通テスト利用選抜[後期日程]
- ⑨ 一般選抜+共通テスト利用選抜(高得点合算型)
- ⑩ 専門高校特別選抜
- ⑪ 社会人特別選抜