- 学科ニュース
株式会社歴清社で広島が誇る「箔押し技術」を体験
2024.10.01
- 学生活動
地域活性化をテーマに研究&課外活動をしている山田ゼミの3年生が、株式会社歴清社(広島市西区)の工場を見学し、世界に認められたオンリーワンであるプロの箔押し技術を体験してきました。
株式会社歴清社は1905年創業の老舗です。箔を手貼りしていく伝統的な技法と、金属箔の変色を劇的に抑えるオンリーワンの技術をもとに「箔押し文化」の魅力を世界に発信し、新しい可能性を追求し続けている会社です。
工場には被爆した倉庫や煙突が残っており、工場自体も被爆した小学校の廃材を移築して建てられ、その長く受け継がれてきた歴史の重さを実感します。厚さ約0.0004mmの極薄の箔を1枚1枚手貼りしていく繊細な技法は、破れたり、わずかでも貼る位置がずれてしまったりすると、その箔はもう使用できなくなるため常に高い集中力が求められる作業です。
歴清社は、長年の研究の末に辿り着いた独自製法で、変色しにくい真鍮(しんちゅう)製の金箔紙を日本で初めて開発。その輝きは本金箔と見分けがつかないほど美しく、思わず息をするのを忘れてしまうくらい圧倒されます。
実は、2016年に新設された本学1号館2階にある安田リヨウ記念館には「学園訓」が記された金屏風がありますが、この金屏風を製作してくださったのが、こちらの歴清社だったというご縁もありました。
いくつもの工程を経た箔紙をしわ一つなく乾燥させるため、工場内部は天井がとても高く、この光景は圧巻でした。
その後、私たちは工場内のアトリエに移動し、箔のハガキに多様な箔を押すワークショップに参加しました。
好きな色の箔のハガキを選び、デザインが決まったら、乾くことで接着する特殊な糊を竹筆などに付け、図柄を描いていきます。そこに箔を載せていくのですが、洋金(真鍮)、本銀、錫、アルミのほか本銀や洋金を硫黄で燻して変色させた赤貝、青貝、七彩など10種類以上もの箔があり、どの箔を使うか迷ってしまうほど。その後、ブラシで擦り、箔を定着させていきます。箔を馴染ませていくと最初に描いた図柄が箔とともに浮き上がってきます。どのような仕上がりになるかわからないので、楽しみながらオリジナルハガキをつくることができました。
工場の見学からワークショップまで貴重な体験ができました。製作指導をしていただいた金築アドバイザーを始め歴清社の皆様に心より感謝申し上げます。
世界に誇れる日本の美意識と伝統を守りながらも、常に新しい挑戦を続ける「歴清社」。
ゼミでは、連携する企業・自治体の支援を受けながらフィールドワークを通して得た学びをもとに、広島が誇る伝統技術の認知向上と商品開発に取り組んでいます。
※この活動は、広島広域都市圏地域貢献人材育成事業の支援を受けて実施しています。