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薬理学分野による研究成果が「Scientific Reports」に掲載されました

2021.10.13

  • 学科コラム

本学薬学科の薬理学分野(中西 博 教授)と九州大学、国際医療福祉大学との共同研究成果「Stem cells from human exfoliated deciduous teeth attenuate neuropathic tactile allodynia in mice through distinct from ED-sigrec-9/MCP-1-mediated tissue-repairing mechanism」が「Scientific Reports」誌に掲載されました。
https://doi.org/10.1038/s41598-021-99585-2

本論文では、医療廃棄物のヒト脱落乳歯から採取した歯髄幹細胞(Stem cells from Human Exfoliated Deciduous teeth: SHED)ならびにその培養上清(SHED-CM)の単回静脈内投与が、難治性疾患の一つである神経障害性疼痛(神経が障害されて起こる痛みで、帯状疱疹治癒後の痛み、糖尿病の合併症に伴う痛みなど)に対して鎮痛効果を示すことを明らかにしました。現在、神経障害性疼痛の治療薬として興奮性神経伝達物質の過剰な放出を抑えるプレガバリン(商品名リリカ)が広く使われていますが、根本治療薬は開発されていません。本研究ではマウスを用いた実験により、SHEDあるいはSHED-CMに含まれる分子量30-50 kDaのタンパク質成分を静脈内へ単回投与すると、脊髄神経の切断によって生じる神経障害性疼痛が改善されることを見出しました(下図)。また、SHEDならびにSHED-CMの単回静脈内投与により、脊髄神経の傷害が修復され、傷害に伴って起こる免疫担当細胞のマクロファージの集積が抑制されることを突き止めました。本研究成果は、SHED-CMに含まれるタンパク質成分(分子量30-50 kDa)が神経障害性疼痛に対する根本治療薬になる可能性を示唆するものです。

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