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機能形態学分野及び医療免疫学分野による研究成果が「The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology」誌に掲載されました

2021.12.16

  • 学科コラム

本学薬学科の機能形態学分野(田中 亜路 講師、山本 秀也 教授)、医療免疫学分野(村上 千穂 助教)及び、学生4人による研究成果「25-hydroxycholesterol-induced cell death via activation of ROCK/LIMK/cofilin axis in colorectal cancer cell spheroids」が「The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology」誌に掲載されました。(https://doi.org/10.1016/j.jsbmb.2021.106037)

本論文では、幅広い生体防御機能を示すステロイドのひとつである25-hydroxycholesterolが、大腸がんの転移を阻害するメカニズムを明らかにしました。転移活性をもつ大腸がんは、細胞内のアクチン細胞骨格の伸び縮みをさまざまに制御することで、自在に形態を変えて動き回り、大腸から血液やリンパ液を経由して他の臓器に転移します。今回の研究では、3次元的に培養した大腸がん細胞において25-hydroxycholesterolが、細胞死を誘導する酵素のCaspase-3の発現上昇及び、情報伝達分子のRho-associated coiled coil-containing protein kinase(ROCK)、LIM kinase(LIMK)、cofilinの活性化を介して、アクチン細胞骨格を過度に安定化することで、転移性がん細胞の細胞死を誘導することを明らかにしました。この研究成果は、がんの転移を阻害する新規の薬剤の開発など、医療分野への展開・応用が期待されます。

参考: Ayaho Hitsuda, Reona Dan, Ayaka Urakawa, Yasuna Hiraoka, Chiho Murakami, Hideya Yamamoto, Arowu R.Tanaka. J. Steroid Biochem. Mol. Biol., 216, 106037, 2022


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25-hydroxycholesterolが三次元培養した大腸がん細胞に細胞死を誘導するメカニズム