

花だより2023 ~薬用植物園 オープンキャンパスでご覧ください~
2023.08.02
7月のオープンキャンパスでは、多くの皆さまに薬学科ブースにお越しいただき、ありがとうございました。真夏をむかえ、薬用植物園では様々な花をご覧いただけます。いくつかご紹介します。
まずは黄色の小さな花を多数つけるウイキョウ(写真①)。芳香性で、健胃・鎮痛作用があり、食欲がない、胃痛や胸やけがあるなどの症状に用いられます(漢方処方では安中散などに配合)。果実が薬用部位となります。また、古代エジプトの時代から栽培されている世界最古のハーブの一つとしても有名です(フェンネル)。
写真②はアジサイによく似た花をつけるアマチャです。葉を乾かし発酵させると非常に甘くなることから和名がつけられていますが、学名はHydrangea macrophylla Seringe var. Thunbergii Makino。今話題の牧野富太郎博士が命名者です。甘味の正体はフィロズルチンでショ糖の約1000倍も甘味度があり、非糖であることから糖尿病患者のための砂糖代わりにも用いられています。
メハジキ(写真③)は生薬名をヤクモソウ(益母草)といい、体の血の滞りを治す作用を有し、月経不順、生理痛、産後のめまいなどに用いられている婦人薬の一つで、花期の地上部が薬用部位となっています(漢方処方では、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)など)。
最後は、白色の小花が見事なヨロイグサ(鎧草、写真④)を紹介します。生薬名はビャクシ(白芷)といい、こちらは根が薬用部位となります。解熱、鎮痛、解毒、排膿などの作用があり、江戸時代の医師、華岡青洲が、世界初の全身麻酔を施しての乳がん手術を行ったときに用いた「通仙散」という麻酔薬の調合薬の一つとしても有名です。
その他にも様々な薬用植物が夏の光を浴びて成長しています。薬学科では、オープンキャンパスの際に見学会を行っています。是非、直接ご覧ください。お待ちしております。
写真①:ウイキョウ(セリ科)の黄色の小花
写真②:アマチャ(アジサイ科)の赤い花
写真③:メハジキ(シソ科)の淡紅色の花
写真④:ヨロイグサ(セリ科)の白い花