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本学科の教員によるインフルエンザウイルス研究の論文が出版され学術研究専門誌の表紙を飾りました

2022.02.09

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本学科の渡邊健准教授と長崎大学、鹿児島大学、ケニアの研究所、武田薬品が母体の創薬企業アクセリード社からなるグループによる国際共同研究成果「Lead Optimization of Influenza Virus RNA Polymerase Inhibitors Targeting PA−PB1 Interaction」が2022年1月に「Journal of Medicinal Chemistry」誌に掲載され、表紙を飾りました。
HP: https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.1c01527

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以下、渡邊准教授からのコメントです。

コロナウイルス感染症は世界に多大な影響を与えています。ウイルスは我々のしあわせな生活の基本である衣・食・住・健康・環境を脅かす存在となっています。インフルエンザウイルスが感染して起きる疾患であるインフルエンザが原因で日本では年間1万人が死亡しています。本論文では、研究グループが以前にスーパーコンピュータで探索・デザインしたインフルエンザに対する新薬候補つまりリード化合物の分子構造をもとに、あらたに百種類以上の化合物を化学合成し、その抗ウイルス効果について、培養細胞を用いた実験とコンピュータシミュレーションで明らかにしました。既に認可されている抗インフルエンザ薬であるタミフルやアビガンよりも低濃度で有効、かつタミフルに耐性のインフルエンザウイルスにも効果を発揮する化合物は、今後マウスを用いての動物実験での有効性の確認などを経て新たな新薬の開発に繋がることが期待されます。また、本研究のスーパーコンピュータを用いた新薬開発の手法は、インフルエンザウイルスと同じRNAウイルスに分類されるコロナウイルスが原因となる感染症の治療薬研究にも広く用いられています。