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第3回SEECレポート(6)

2017.03.08

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SEECは、安田女子大学での留学プログラムの名称で、ビクトリア大学では「ヤスダ・エデュケーションプログラム」と呼ばれています。二つの小学校に参観することがプログラムの中に入っています。この小学校訪問は、実は通常ではなかなか出来ないことのようです。例えば、ビクトリア大学の学生であっても、大学院生であっても小学校に訪問することは出来ません。そのため、他の国や大学からの留学生はビクトリアの小学校に訪問することはほとんどないのだそうです。安田女子大学とビクトリア大学との信頼関係によって特別に認められているプログラムなのです。カナダの小学校は、州によって管理が違います。学年制度まで異なっています。しかも、ビクトリアがあるブリティッシュコロンビア州の中でもビクトリアは特別な制度を取っているようです。また、カナダは、公用語として英語とフランス語が用いられています。そのため、フランス語を中心の言語として教育を行うクラスを必ず設けてあります。ダウンタウンの本屋さんを訪れた時も、フランス語の絵本と英語の絵本と双方とも置いてありました。また、テレビでの子供向け番組も英語とフランス語の二つの言語で放送されています。カナダではフランス語が本当に小さな頃から身近にあることがわかりました。
 さて、SEECのメンバーが訪問したのは、2月21日にジョージジョイ小学校と、2月28日にクローバディル小学校です。ジョージジョイ小学校は、保護者支援に積極的に取り組んでおり、保護者のためのカフェルームもあります。クローバディル小学校は、トラディショナル小学校と呼ばれていて、私立小学校のように保護者に入学前に学校での約束などを説明し、保護者も学校支援を積極的に参加することが前提の小学校です。とても人気で、一年生の入学定員60名に対して倍の入学希望者がおり、待機状態になっているそうです。しかも、入学受付は入学年の過去五年前から受け付けられるので、生まれてすぐに申し込む保護者もいるようでした。
 双方の小学校とも校長先生や副校長先生が校内を一年生のクラスから高学年まで案内してくださいました。また、実際の子ども達が授業を受けている姿を参観することが出来ました。ジョージジョイ小学校では、五年生のクラスに入った時に、子ども達から私たちに質問をする時間がありました。学生は、直接、子ども達の声を聞く機会なので必死に聞き漏らさないように集中している姿が印象的でした。
 クローバディル小学校では、校長先生が学生の質問に答える時間を取ってくださいました。いきなり、質問をいうのではなく、最初に自分の名前を言って、自己紹介をして、質問をするといったマナーを大切にした学生の姿に校長先生は大変喜ばれ、素晴らしいと褒めてくださいました。また、日系人の五年生の女の子も参加して、彼女から学生に質問をする機会もありました。学生は、カナダで日系人として暮らし、勉強している女の子の姿に感動しているようでした。

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ジョージジョイ小学校の一年生のクラスに入ると、間食の時間でした。10時ごろに少しだけスナックや果物や軽い食事をとるのが一般的で、家からお弁当を持参するのが一般的なようです。しかし、ジョージジョイ小学校では、給食も申し込みでとることが出来ます。保護者の意思で決めることが出来るようです。更に、給食費が支払えない子ども達にも給食が無料で提供されます。その費用は、募金などから賄われるようです。とにかく、生活を安定させることが最優先と考えられている小学校の取り組みでした。

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副校長先生は五年生の担任も兼任しています。右端のシャツは、自分のアイデンティティーを描こうという取り組みだそうです。このクラスにも日系人の男の子が在籍していました。彼は嬉しそうに私たちに向かって「こんにちは」と答えてくれました。お母さんが日本人なので日本人に会うと嬉しいのだそうです。

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掲示物の一つ一つに興味津々です。やはり日本の小学校とは異なっています。ゆっくり見ていきたいのですが、全部のクラスを回るので足早な移動です。教育プログラム担当のクリスさんと通訳の奈津子さんも一緒の訪問なので安心して行動できます。

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校長先生が最初にクローバディル小学校の概要を説明してくださいました。連絡帳の役割を果たす大きなノートを子ども達に配布され、毎日、保護者と教師が子ども達の連絡帳を通して連携をしているのだそうです。学生も真剣に話を聞いています。二月の後半になると、かなり英語の聞き取りは出来るようで、通訳の奈津子さんが話される前に、英語の話を聞きながら「うん、うん」とうなずく姿が増えています。

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一年生が描いた「100歳になった時の私」の絵です。クローバディル小学校は創立100周年なので、子ども達も100歳になった自分をテーマに作品を作っているのだそうです。「100歳になったらパイナップルを食べて、お茶を飲むの」という文字に心をぎゅっとつかまれている学生たちでした。

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校長先生への質問は、コンピュータールームを使って行われていました。ちょうど、コンピューターで物理のレポートをまとめていた女の子が、私たち学生が気になってしようがない様子でした。校長先生はその女の子を呼んで紹介してくれました。実は、おかあさんが日本人なので、少しお話がしたかったようです。女の子から学生への質問タイムとなり、楽しい交流の時間となりました。