研究室・ゼミ紹介
文学部 書道学科

研究室・ゼミ紹介

井田 明宏ゼミ

書法史研究、書作品制作

私は中国古代の簡牘に注目し、そこに見られる書体変遷の実態について調べています。名もなき人々の肉筆を分析し、その価値を見出し、書法史上に位置付ける試みには、歴史に新たな1ページを書き加えるという、何にも代えがたい楽しみがあります。その分析の際には、文字の点画や字形など、造形上に表れる細かな特徴を捉え、それを形作っている背景や、変化の過程を正確に辿っていくことが重要です。これは「様式論」と呼ばれる研究手法ですが、その根本には書の実作を重ねる中で培った眼力が欠かせません。その力は4年間の学びの中で自然と身に付きます。
卒業論文では各々が設定したテーマや問いに対し、培った眼力を応用して多角的な分析を行い、そこで得られた客観的事実を先学の成果と照らし合わせ、自らの論理を組み立てていきます。作品制作でも手(表現)だけに頼るのではなく、鍛えた目を使って考える(理論)ことが大切です。4年間で身に付けた表現と理論の力を遺憾なく発揮し、自ら設定した課題に対してより良い答えを得られるよう、個々に応じたサポートをしていきます。

卒業論文テーマ(例)

  • 後漢時代における草書の類型化の状況
  • 祝允明の小楷書法について
  • 呉昌碩の篆書作品の書風変遷-散氏盤の影響に注目して-
  • 草戸千軒町遺跡出土木簡における仮名表現に関する一考察
  • 古筆料紙の制作に関する実践的研究
  • 古筆切の鑑定の歴史と実践
  • 古筆の展示における効果的なライティングの検討と実践-から紙の展示を例として-
  • 書芸術の特質と感性的鑑賞法
  • 熊野筆のこれから

谷口 邦彦ゼミ

漢字書法研究、書写書道教育研究

私の取り組んでいる研究テーマは、書道を含む手書き文字全般に目を向けたものになっています。歴史的に評価が定まっている筆跡のみならず、現代社会における様々な書き文字に目を向けることにより、研究テーマは広がりをみせます。さらに、手書きに留まることなくデザインされた文字に興味をもつ学生も少なくありません。書写書道教育を専門としているため、ゼミには教員をめざす学生が比較的多く集まります。書道の文化を継承するためにも教育は欠かすことはできませんが、より良い書写書道教育のあり方を模索した結果、ゼミからは多くの卒業生が教員として活躍しています。
作品制作では、入学後から取り組んだ自己臨書課題に依拠しつつ、時間をかけて卒業制作に取り組み発表します。また、地域のイベント等での書道を通した交流は、ゼミの学生が中心となりリーダーシップを発揮します。社会に出る前に書道を通して人間力が育まれていきます。

卒業論文テーマ(例)

  • 芸術科書道における思考活動の有用性について
  • 筆順に関する歴史的研究
  • 大正時代の文字教育について
  • 左手書字者から見る左手書字についての一考察
  • 中国の書道教育に関する一考察
  • 書道が高齢者に与える心理的効果について
  • 芸術療法における一考察―書道療法の効用を中心に―
  • 金融機関のロゴに見られる筆文字とデザイン
  • 九成宮醴泉銘の字形における文字構成の分析
  • 漢代の隷書に関する一考察―石門頌を中心に―

増田 知之ゼミ

漢字書法、東アジア書道史

書道学科は1年次より3年次にかけて、基礎から応用、実技から理論にいたるまで、書に関する様々な事柄を幅広く学びます。その過程できっと自分自身が興味を惹かれるテーマや作品が見つかるはずです。ゼミでは、それらについてより専門的に研究し、また作品制作を進めます。卒業論文では、先行研究の収集・分析、問題点の抽出からテーマに沿った解決法、更には論文執筆の細かい方法にいたるまで、丁寧に指導します。また分野は、中国・日本・朝鮮を問わず、書文化が広がった「東アジア」全域を対象とします。ダイナミック、かつ多様な書の世界を自分なりに跡づけていきましょう。作品制作では、古典臨書から創作作品まで、また小品から大作まで、多様な作品を制作します。古典表現の土台にオリジナリティを加味した、深みのある作品を目指しましょう。
書は大変豊かな学際的広がりを持っています。このような書を専門的に扱う本学科のゼミを通じて、書の面白さを実感するだけでなく、ものごとをより広い視野で捉える多角的な視点、問題を解決に導くための柔軟な思考や発想など、卒業後の「自己実現」にも通ずるものを養ってもらいたいと思っています。

卒業論文テーマ(例)

  • 北魏における墓誌銘の時代様式
  • 顔真卿の書風について―王羲之との比較を通して―
  • 米芾書法の形成と後世における受容
  • 現代中国における書法教育の一考察
  • 台湾における学書の在り方について
  • 巻筆から水筆への移行に関する一考察
  • 朝鮮書芸史におけるハングル書芸の位置
  • 日本における王羲之受容の実態
  • 空海の書法に与えた「入唐」の影響
  • 子規と書―生き抜いた三十五年とその書境―
  • ヒロシマと書道