安田女学院大学心理学部安田女学院大学心理学部

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先生×学生 TALK「ココロを学ぶことについて語ろう」

ココロを学ぶことについて語ろう

心理学が人の興味をひく理由って?

信重
最近テレビや雑誌で心理学を目にする機会が増えた気がしますが、なぜ注目を集めているのでしょうか?
池田
「今、特別注目を集めている」ということではなく、「自分がどういう存在か?」「他の人はどう考えているのか?」といった問いはどんなに時代が変わっても変わらない私たちの永遠の関心事だと思っています。
信重
そのような問いを探究する学問が心理学なのですね。
池田
はい。生きることは問題解決の連続です。自分がどういう人間でどんな考えを持っているのか、その軸がないとどんな問題も解決は難しいと思います。人がそれを問い続ける限り、心理学に対する関心は尽きないのではないでしょうか。ただ、例えば今対面的なコミュニケーション以外のインターネットやSNS など、別のカタチのコミュニケーションが増えていますが、改めて人の心について、新しいカタチで関心が高まってきているのかなとは思いますね。
竹内
一方で心理学の学びをさらに深め応用するのが現代ではないでしょうか。今、物やサービスはあふれていますが、それだけで心を満足させることはできていないように思います。人の価値観が多様になり、一人ひとりの心に着目しなければならない、心の豊かさを求める時代に入ってきた、そういうことがビジネスの世界でも言えると思います。

ココロを学ぶことについて語ろう

心理学はビジネスの世界で期待されている?

信重
ビジネスの世界では心理学にどのような期待をしているのでしょうか?
竹内
ビジネスの現場では、一人ひとりのお客さまが何を求めているのかということに真剣に向き合っています。例えば、ある商品を人が持っているから欲しかったり、持っているからいらないと思うことがありますよね。
信重
そうですね、考えてしまうときもあります。
竹内
そう判断をしているのは信重さんの心です。一人ひとりに向き合うというのは、心に向き合うことだと思いますし、そこに心理学に対する期待があると思います。少し話がそれるかもしれないんですが、自動車メーカーで人事部長をしていた頃は働く人の気持ちを大切に仕事をしていました。良い商品やサービスを生み出すには、それをつくり出す人の心が前向きに、何かを実現したいと思っていることがすごく大切なんです。
信重
前向きな心が大切なのですね。
竹内
ポジティブ心理学と呼ばれるもので、とらえ方の話なんですが、常に物事を肯定的にとらえるんです。そうすることで思考が前向きになって自分の力がより発揮できるようになる。アメリカからきた考え方なんですが、どんどん日本企業の中にも浸透しています。例えば、「この会社をどんなふうにしていきたいか?」という問いに対して「だめなところを探してその問題解決をする」のではなく、「いいところを見つけてこうすればもっと良くなるよね」というふうにとらえ直しをしていく。そういうことが始まっているんです。
池田
状況を変えるのは難しいので自分の認知を変えるという考え方ですね。
竹内
そうです。企業の人の育て方も「やることが決まっていて、何人これができる人が欲しい、だからこれを習得して下さい」という従来の育て方から、「自分たちで考えて行動していける人達がいる会社にしていきたい」というふうに変わってきました。自分らしさ、個性を自ら理解し前向きに考えて行動していける人材が必要とされています。自分について知るという面でも心理学は期待されているのかもしれません。信重さんは心理学にどんな期待を持って学び始めたんですか?
信重
私は悩みを抱える人の心に寄り添いたいという思いから心理学に興味を持ち始めました。また、人と関わる上で表面的には見えない内面部分を知りたいという思いもありました。今は幅広い領域の心理学を学ぶことで、さまざまな視点から人の心についての理解を深めています。

ココロを学ぶことについて語ろう

実践的で役立つ?心理学の魅力

信重
池田先生は心理学の魅力をどのようにお考えですか?
池田
外から見ることのできない人の心がどうなっているのか、できる限り客観的なカタチでとらえようとするところが、心理学の一番の魅力であり面白いところだと思います。私はずっと、人間の言語処理や記憶について研究してきましたが、安田でたくさんの学生と関わるうち、四年間の心理学の学びで学生がどんな力を身につけて、社会に巣立っていくのかということに興味を持つようになりました。今は大学生の学習観や学びの中で身につけていく能力について研究しています。心理学を学んだ学生には客観的な根拠に基づいて判断する力や多様な側面からものをみる視点が身についていると思います。信重さんは心理学を学んで、ご自身にどんな変化を感じましたか?
信重
自分と向き合う機会が増えました。授業で学んだ知識を自分に照らし合わせて考えることが多くあります。また、心理学には少し堅苦しいイメージがありましたが、友だちの悩みを聞くときにカウンセリングの技法が生かせたり、さまざまな知識が身近なところで応用できて、今は学ぶほどに面白く、深い学問だと思っています。これから心理学部はどう変わっていくのでしょうか?
池田
来年度から現代心理学科とビジネス心理学科の2学科になります。心理学は基礎的学問領域ですが、実践的な側面も多くあります。例えば教育、産業、犯罪・矯正、福祉など、さまざまなところで心理学の学びは実践的に役立っているんです。これからも学びを社会で実践的に活用できるよう、自ら考え行動できる学生に育てていきたいと考えています。

ココロを学ぶことについて語ろう

【プロフィール】

信重 綾
心理学部心理学科 2年
池田智子
心理学部心理学科教授、心理学科長。
広島大学大学院教育学研究科教育心理学専攻博士後期課程修了・博士(心理学)。色と単語、単語と絵、日本語と英語など、情報処理過程における2つの異なる情報の関わりについて研究してきた。現在は、心理学を学ぶことで獲得されるスキルや能力について関心を持っている。
竹内雄司
現代ビジネス学部国際観光ビジネス学科教授、キャリアセンター次長。
神戸大学大学院経営学研究科MBA課程修了。大学卒業後、マツダ(株)に入社。米国駐在を経てグローバル人事部長、人事室副室長を担当し、2014年から大学教員に。専門はキャリア論、モチベーション論。現在は、自発的行動の喚起について研究を行っている。

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