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平成28年度 次世代グローバルリーダー事業「世界青年の船」を終えて

2017.04.03

  • 学生活動

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(写真は、参加青年全体の様子です)



平成28年度 次世代グローバルリーダー事業「世界青年の船」を終えて

英語英米文学科4年 大谷 歩
 

みなさんは「世界青年の船」という言葉を聞いたことがありますか?「世界青年の船(Ship for World Youth Leaders)」とは、内閣府が主催する、青年国際交流事業の一つです。私は大学2年の時にこのプログラムを知り、一目惚れして、大学4年最後の長期休暇を使って、遂に先月参加してきました。みなさんに、この事業の魅力と自分の経験を可能な限り伝え、みなさんがこの事業に興味を持ったり、何か前に踏み出したい気持ちになってくれたら嬉しいです。

【世界青年の船ってなんだろう・・・?】
「世界青年の船」とは、世界各地から集まった青年たちが、船の上で共同生活をしながら、文化交流や、ディスカッション、自主活動などを行うことにより、国際的な視野を広げながら、国際化が進む様々な分野でリーダーシップを発揮することができる青年を育成するためのプログラムです。事業の目的は、「青年の育成」に加え、「諸外国との友好・親善を深めること」にもあります。他国に船で訪問できるというのは、国家間の信頼関係が築けている証であり、また、世界各地から集まる青年同士が交流することで、草の根レベルでの外交を行っているとしています。事業は約30年前から続いており、今年度で第29回目の開催となりました。今年度の事業の概要ですが、まず参加国は、ブラジル連邦共和国、カナダ、コスタリカ共和国、エジプト・アラブ共和国、フィジー共和国、インド、ケニア共和国、ニュージーランド、トンガ、ウクライナ、日本の計11か国で、日本人青年119人と、外国人青年119人の計235人が参加しました。6日間の陸上研修と、34日間船上研修があり、その中で、寄港地としてニュージーランドとフィジー共和国、給油地としてバヌアツ、ソロモン諸島に上陸しました。今回通った航路は、地球4分の1周の距離に相当しています。

  • eibun20170403_01.png今年度の航路

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出航の様子 陸上から

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出航の様子 船上から

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同じ班のメンバー



【どんな活動をしているの・・・?】
主な活動を項目に分けてご紹介したいと思います。

有識者によるセミナー:主にリーダシップセミナー、プロジェクトマネジメントセミナー、異文化理解セミナーと3種類あり、講義形式やワークショップ形式によって行われ、あらゆる分野で活きる基本的な知識を養います。
コース別ディスカッション:国際貢献活動コース、責任あるツーリズムコース、青年のエンパワーメントコース、防災活動のための人材育成コース等々、6つのコースに分かれ、ファシリテーターのもとでディスカッションを重ね、その分野への理解を深めると共に実践力を養います。
参加青年によるセミナー:参加青年自身が講師となり、様々なトピックについて授業を行う活動です。授業例としては、農業について、メンタルヘルスについて、英語勉強法について、禅の精神について、メディアリテラシーについて等トピックは幅広くあります。
訪問国活動:訪問国政府への表敬訪問や、コース別ディスカッションごとで行う課題別視察、地元の学校や、村を訪問して、地元の方との交流を図ります。
クラブ活動:太鼓クラブ、インド舞踊クラブ、ソーラン節クラブ、スワヒリ語クラブ等々、自国の文化を紹介するクラブを、青年自らが立ち上げて運営し、互いの文化を体験し合うことで、青年同士の交流や相互理解を深めていきます。
委員会活動:ナショナルプレゼンテーション委員会、スポーツ&レクリエーション委員会、セミナー委員会など、船内活動の企画・実施をします。
自主活動:自由時間に誰でも自由に立ち上げることができる活動です。活動例としては、日本の特産品を紹介する物産展、フェアトレードの紹介活動、教育について語る会、チャリティー活動、朝ヨガ活動など様々あります。


主に、以上のような活動があります。講師やファシリテーターによって行われるレクチャーやセミナーはありますが、基本的にこの事業の活動主体は「青年」であり、青年が自由に活動を行って交流し学び合うための「枠」や「場」を内閣府側から与えられているイメージで、中身は青年の行動次第といった感じです。もちろん内閣府側の全力のサポートあって成立していることですが、「世界青年の船」の肝心な中身は主に参加青年によって作り上げられるため、参加する青年一人一人にとっての「世界青年の船」の意味もまた全く異なると思います。そのため、参加できたらそれで全員同じ満足度や経験が得られるというわけでは決してなく、自分がここで何を行うかが重要で、能動的に動いて自分の「世界青年の船」を「作る」という感覚が重要だと思います。そういった意味で、本事業は、留学のように「学びに行く」というよりも、青年がお互いに持っているものを出し合って、協力して「学び合う」感覚に近いです。

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プロジェクトマネジメントセミナーの様子

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ナショナルプレゼンテーションで披露したソーラン節の様子

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クラブ活動の発表会で披露した書道パフォーマンス

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寄港地のニュージーランドで訪れたマオリ族の家

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寄港地のフィジー共和国での歓迎会の様子



【私が行った主な活動・学んだこと】
主に3点を記述したいと思います。

①委員会活動
私は、「異文化理解セミナー委員」に所属し、異文化理解セミナーでの講師のサポートや一部授業の時間を使って、委員会メンバーで考えたアクティビティを行うといった活動を行いました。委員会メンバーで集まって、その日のセミナーの内容や学びを振り返ったり、自分達オリジナルのアクティビティの案を出し合って企画や準備をすることは、自分にとって簡単なことではありませんでした。英語の問題ももちろんありますが、聞き役になってしまいがちな態度がミスコミュニケーションの原因になり委員会メンバーに迷惑をかけてしまいました。みんなはどうにかその状況を改善しようと協力してくれ、その態度に感銘したと同時にやはり悔しさもあります。自分達で行うアクティビティについての話し合いの結果としては、世界各地から集まった青年たちを生かそうと考え、互いの文化への理解を深められるテーマを設定し、参加青年にグループに分かれて意見交換してもらい、そこで出た意見を委員のメンバーが分析し発表するという流れになりました。委員会メンバーで設定した話し合いのテーマは5つあり、「時間厳守」「お酒のコミュニケーション」「力関係(階級)」「非公式な場面での関係性」「教育」それぞれ、各国の文化にどのような影響を及ぼしているかというものでした。私が担当したテーマは「力関係(階級)」についてで、内容は少し複雑でしたが、パートナーのウクライナ人の青年に何度も助けてもらいながら、どうにか全体の前で発表をすることができました。一つのことを複数人で企画・実施するというのは、日本人同士であってもコミュニケーション不足や情報共有の不足などで上手くいかないことはありますが、様々な国からきた人と一緒にやるとなると、一層密にコミュニケーションを取って、意志疎通を図らなければうまくいかないのだと実感しました。それは体力を要することでもありますが、同時に、何度も話し合いを重ねるために、相当な信頼関係が築ける場合もあります。苦労することも多かったですが、多くのことに気づけた委員会活動でした。

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異文化理解セミナーで発表した時の様子



②コース別ディスカッション
私は、防災活動のための人材育成コースに所属し、5回のセッションに加え、寄港地であるニュージーランドとフィジー共和国において、防災に関わる施設を訪問しました。視察先としては、日本では、JANICという災害に関わるNGOセンター、ニュージーランドで、Civil Defence & Emergency Management (CDEM) という政府の組織、フィジー共和国で、赤十字社に訪問しました。セッションの内容は主に、災害の定義、防災を担う組織の視点、多様なステークホルダーの参加と連携、組織の説明責任、支援活動の終了基準、ステークホルダーの自発性を高めるコミュニケーション等についてを、ディスカッションしながら学びました。
セッションの構成として、始めは「自助」となる自分で自分を守るために必要な防災の勉強や意識の向上を行い、次に、DIGゲーム(災害想像ゲーム)と呼ばれる災害図上訓練の手法を用いて、災害時にどんな人が何を必要するのか考え、コミュニティベースで互いに助け合う「共助」を学びました。そして、ニュージーランドで視察をしたCDEMでの政府側からの視点や、セッション内での行政や組織運営側の視点での防災支援を考え、防災のための「公助」を学びました。気づきとしては、日本のNGOセンターであるJANICや、ニュージーランドで視察したCDEMという組織で、政府や組織側からの支援である公助の部分をみることができた一方、フィジーでは、「自助」の力を強く感じることができました。フィジーでNakini Naitasiriという村を訪問した際、村のコミュニティをみると、人々が互いをよく知り、コミュニティ全体が家族のような雰囲気があり、こういったコミュニティこそが何より災害時に活きるものであり、また、今自分の地域にないものだと感じました。ファシリテーターの方とお話をした際、「防災力とは地域力である」と教えて頂いたのですが、公助がしっかりしていることも確かにとても大切ですが、やはりそれは共助や自助があってのことだと感じます。このディスカッションコースを通して、防災の知識が増えただけでなく、他国の防災を垣間見ることができ、その土地の文化や風土から生まれた防災の形があることに面白さを感じながら、自分達にとってよりよい防災、必要な力は何か考えるきっかけになりました。

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コース別ディスカッションの様子

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フィジー共和国で赤十字社を訪問した時の様子



③自主活動
自主活動で私が主にやったことは2つです。まず1つ目は「ジャパンナイト」というイベントを日本人青年で立ち上げ、「お祭り」というテーマのもと、日本各地の特産品の紹介や、昔懐かしい日本の遊びを屋台のように並べて紹介しました。特産品を紹介する物産展では、広島県として、お饅頭とせんべいを紹介しました。外国人青年の反応として、商品自体は知られていませんでしたが、やはりHIROSHIMAの認知度は高く、原爆がすぐ頭に浮かぶ人が多かったです。2つ目の自主活動としては、私がこれまで広島の平和促進のための青年国際交流事業に何度か参加していたこともあり、小規模ですが平和活動を行いました。具体的には、平和首長会議という日本の国際機構がありますが、それにまだ加盟していない都市から来た外国人青年に対して、平和首長会議についての説明や目的を話した後、加盟に必要な資料を渡して(知り合いの市の職員の方に頂いたものです)、彼らが母国に帰った時に、市長さんのところへ持参してもらい、組織への加盟を促してもらうようお願いをしました。参加青年の国や市によっては、核兵器を推進する立場にいるところもあって、核兵器廃絶の為の組織への加盟は現実的に難しいといったことも聞かれましたが、それでも平和首長会議の存在や広島について知るきっかけになればと思います。また、平和活動として、平和首長会議への加盟促進運動以外には、単純に外国人青年と広島について話す機会を積極的に持ちました。これまで自分が参加した広島市の平和促進のための青年国際交流事業では、外国人青年は主に、広島市の姉妹都市や平和首長会議の加盟都市から来ていたので、核兵器廃絶への合意形成はある意味得やすかったのですが、今回の事業では、核保有国であるインドから来た青年や、広島に訪れたことのない青年と話をする機会を持つことができ、より現実的な問題に向き合うことができました。個人の力は微々たるものかもしれませんが、問題意識を持って平和に向けた話し合いの機会を持つことも大切な平和活動と思うので、これからも続けていきたいです。今回の活動で、外国人青年の方が私よりも広島の歴史に詳しい場面もあり、自分の知識も発信力もまだ足りないと感じたので、自分も学びながら今後より多くの人とシェアしていきたいと思います。

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ジャパンナイトでの物産展の様子



【世界青年の船を終えて思うこと】
この事業の大きな特徴の一つは、やはりプログラムが船の上で行われるということです。今の時代、飛行機で簡単に他国を訪問できますし、船は飛行機よりもお金も時間もかかります。それにも拘らず、どうして事業は船で行われるのでしょうか。管理官の方がおっしゃっていたことですが、その理由の一つは、青年同士の心の距離を縮める環境を作るためです。船という限られた空間の中で、ネット環境もなく、在るのは大海原と船と自分達だけです。そういった逃げ場のない場では、とことん「今」に集中でき、目の前の「人」と向き合い、「自分」と向き合うことができます。私はネットのない環境に初めは抵抗を感じていましたが、今はネットがなくて良かったと強く思います。なぜなら、ネットがないことで生まれるコミュニケーションや感動があったからです。船上でのコミュニケーションにおいては、アナログな方法しかないので、人一人探すのも、人伝いに聞くため一苦労で、見つけた時は次いつどこで会えるか分からないのでしっかりと情報交換をし、また、情報共有の手段も、直接相手に会いに行くか、公の掲示板に紙を貼るか、部屋に置き手紙をするかをしなければなりません。もし船で携帯が使えていたら、それらは全てキャビンの中で携帯を持ち、指を動かすだけで終わっていました。そしてまた、私は事業中インフルエンザにかかってしまい、病室で5日間隔離され、プログラムに参加できない期間があったのですが、その間にも、一生懸命手紙を書いて届けてくれる班のメンバーや友人がいて、隔離された病室を探し出して、内線に電話をかけてくれる友人がいて、復帰してキャビンに戻った際には "Welcome back!" と書いた大きな紙をキャビンのドアに貼って待ってくれる友人がいました。便利なネットこそないのでコミュニケーションにその分手間や時間がかかりましたが、その手間を惜しまず想いを行動に移してくれたことにとても胸が熱くなりました。日本人参加青年のリーダーが「感動は不便の中で生まれる」とおっしゃていましたが、それは本当で、不便さであったり少し不快に感じる環境の中にいたからこそ感動があったと今思います。裏を返せば、便利で快適な環境からは感動は生まれないということでもあり、確かにこのプログラムでは、ネット環境に限らず、言語環境などあらゆることに不便さや不快さを感じましたが、その要素があったからこそ、生まれた感動があるのだろうといま強く感じます。

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船のデッキ



【変わったこと】
この事業で多くの人と出会い、多様な個性の中で約40日間過ごし、自分をまた少し知ることができました。つい人と比較してしまって自分の欠点が見える時もありましたが、そのような多様な人の中にいるから見えた自分があり、その自分と向き合う時間がとても大切だったように思います。周りの他の青年を見ると、人を巻き込む力や、自ら全力で楽しんで目の前の人を楽しませる力などを持ち、彼らを尊敬する一方で、私も彼らのような態度を真似たいと思いました。この事業でもそうでしたが、これまで私は人から何か感銘を受けたり感動させられることが多かったのですが、事業のなかで、自分と変わらない年齢の友達が人を感動させたり、勇気づけたり、楽しませたりしている姿をみていて、自分も何か人に与えられるのではないかと気づけるようになりました。この事業で見えた自分の長所もあるので、自信を持ってこれからは人に何か貰うだけではなく、与えていける人間になりたいです。

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同じ班のメンバー(グループミーティングにて)



【得たもの】
この事業で得られる最高のものの一つは、既参加者で作る「人のネットワーク」です。事業に参加後、既参加青年はほぼ全員、IYEO(International Youth Exchange Organization of Japan:日本青年国際交流機構)という組織に所属するため、世界中に巨大な人のネットワークが存在しています。現在はそのネットワークは、世界62か国、約7000人以上の規模となっており、参加した年度が同じ青年同士がヨコの繋がりとすれば、既参加青年とは「タテの繋がり」として組織を通じて繋がることができます。ですから、もし将来やりたいイベントや、プロジェクトなどがある場合は、日本各地のみならず世界中にいる人のネットワークを利用して、さまざまなアイデアや人、時には寄付金を集めることができ、ネットワークは、自分のやりたいことを実現するための強い武器となります。例えばこのネットワークを上手く利用して、海外で仕事を見つける人、世界旅行に出る人、ビジネスを協力して行う人、ボランティア団体を立ち上げる人、移住する人など様々で、特にビジネスにおいては、自分と同じ分野はもちろん、違う分野や環境にいる人だからこそ協力し合える場合も多いです。そのようにして、既参加青年はプログラム終了後も、「世界青年の船」と共に生きていくことができます。既参加青年とのネットワークを手にしたら、青年の視野は広がり、選択肢が広がり、夢が広がります。事業の本当の目的はここにあり、事業「後」こそが事業の本当の「始まり」だと思います。

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フィジー共和国に到着した際、駆けつけてくれたフィジー人の既参加青年たち



【今後やりたいこと】
今後やりたい活動としては、主に3つあります。まずディスカッションコースで、防災について学ぶ中でいくつか疑問に思うことがあったため、それらを含めて今後も防災や減災を学び続けることです。春から就く職場でも、防災の分野に携わる可能性はあるため、そこでまた防災の現場を知ろうと思います。将来は、海外で防災に携わる仕事に就きたいといまは考えています。2つ目は、日本文化を学ぶことです。ナショナルプレゼンテーションにおいて、自国の文化を体現する青年をみていて、とても素晴らしいと思い、また自らが日本人として文化紹介をした時には、日本人として文化を誇りに感じる瞬間がありました。今後さらに深く自国の文化を知り、外国の方にも知ってもらいたいので、少しずつでも時間を作り、日本文化に触れる機会を増やしていきたいです。3つ目は、ヒロシマを伝え続けることです。この事業に参加することが決まった時、やはり自分に期待されていることも、自分が事業に期待していたこともヒロシマに関わることであったため、この事業が始まる前に、広島について勉強し直し、被爆伝承者の方々にもお話を伺う機会を持ちました。その中で、自分が知っているようで実際よく分かっていなかった核や原爆の実相があったり、本事業の中で、他の青年に突っ込まれて返せなった質問もあったため、これからもまずは事実を学んでいくことが大切だと思っています。また、事前にヒロシマについて学んだ中で、ほぼ毎日原爆ドームの前に立って原爆の解説を行う活動を続けているという私とほぼ同じ年の若者とも出会い、今後自分も何かしらの形でヒロシマを伝承することに関わっていきたいと考えています。



【伝えたいこと】
ここまで読んで頂いて、ありがとうございます。いかがでしょうか。少しでも「世界青年の船」を知り、興味を持って下さっていたら何より嬉しいです。最後に、この事業に参加しようかどうかと迷っている未来の青年にメッセージです。
まずはっきり言って、この事業に参加して、損をすることは何もありません。ただ得られるものがたくさんあります。ただそれだけです。「この事業に参加して本当に人生が変わった」と自らの人生をもって証明している過去の参加者も多くいます。有名な言葉に、「心が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる」というものがありますが、「世界青年の船」を通して、まさに「心」が変わった人は多くいるということです。大なり小なり、「心」が変わり、ひいては人生を変える機会がみなさんのすぐ目の前にあります。自分の人生が大きく変わるかもしれない、そんな可能性を秘めた事業だと思うとわくわくしませんか。
次に、参加を決めるまで、もうひと押しが必要な方へ伝えたいことがあります。まず一つめは、事業では必ずあなたの挑戦をサポートする人がいるということです。世界から青年が230人以上集まっていて、それぞれ違う興味を持っていますが、自分と同じ興味を持っている人は、必ず一人はいます。自分の興味や特技をシェアすることで、同じ志向を持つ青年と出会え、異なる志向をもった青年からは新たな視点をもらうこともできます。約230人の中に、必ず自分のやりたいことに賛同し協力してくれる人はいて、周りの青年も必ずいろいろな形でサポートしてくれます。もちろん内閣府の方も同じで、青年のやりたいことを実現するために可能な限り必要な道具や機材を手配し、準備し、要望の大小や内容にかかわらず、最後まで全力でサポートして下さいます。自分のやりたいことをこの場を使ってシェアして、多様な人と共に行うことで、そのやりたいことはさらに面白くなるはずです。もう一つ伝えたいこととして、これはこの事業の長所であり私が好きなところでもありますが、この事業ではどんな「失敗」もできる環境があります。人の不得意、苦手を笑わず、周りがサポートする雰囲気があります。それは、この事業自体が青年一人一人のチャレンジの場であるために、各々が安全な環境を作ろうと意識し、たとえ失敗したとしても、その挑戦した意気込みに心から拍手を送ります。青年の人柄ももちろんありますが、特にこの事業に参加する青年は、そういった互いを認めて傍にいる人を支えようとするリーダーシップ力や人間力のある人が多く、彼らが作る安全な土台があるからこそ、みなが自由にチャレンジし高め合えるのだと感じます。みなさんもきっと事業に参加すれば一つは必ず挑戦することがあると思いますが、それは決して失敗になりません。なぜならこの事業では、行動を起こした人をしっかりと讃えるために、行動したことに対して失敗という言葉を使う人はいないからです。



長くなりましたが、最後にここで、この事業に関わず何か前に踏み出したいと感じているみなさんに、一つ送りたい言葉があります。これもまた、日本人参加青年のリーダーが私たちに教えて下さった言葉で、キルケゴールの名言だそうです。
「大胆に行動すれば、一時的に足場を失う。大胆さがなければ、自分自身を失う。」
シンプルに言えば、みなさんの「心」がやりたいと思うことは、とにかくやりましょう。変化や何か新しいことを始める時は、未知で、不安定で確かに怖くなりますが、あまり頭で考え過ぎず、「心」に従って直感で動くのも大切と思います。自分の人生において、周りの人は関係なく、自分の心に嘘をつかず、正直に生きていきましょう。一見無理そうと思えることも、案外やってみればできることは多いです。できないと自分が思い込んでいるだけかもしれませんし、みなさんが自分の可能性を見極めるにはまだ早すぎますし、むしろできるかどうかは、やってみないと自分でも世界の誰も分からないことです。とりあえず自分を信じてみて、自分の力や魅力を過小評価するぐらいなら、過信する方が得で、とにかく自分を信じてやりたいことはやってみて下さい。仮にもし駄目でも他にやりようは必ずあるので、固く考えず、何をやりたかったのか初心に戻ることも大切です。自分自身を失わないために、自分の心の声を聞いて、みなさんらしく生きていって欲しいです。

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船から眺めた夕日